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召喚の書

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 俺は篠村竜二郎、高校一年生だ。高校に行けば全ては変わる、そう思っていたが現実は甘くなかった。中学の時の同級生が大多数進学するような高校だったのが間違いだった。中学の時と同じいじめっ子グループに睨まれていたのだから。

 いじめといっても無視やからかわれる、なんてものから時には暴行されることもあった。しかし周囲の大人たちに言いたいことをいえないコミュニケーション障害、コミ障なので上手くいかず状況が改善されるのを半ばあきらめていた。

 そんないじめられっ子の俺の楽しみは、なぜか毎週同じところに置かれている「週刊少年チャンプ」だった。その雑誌は色々とヒット作が連載されているのだが、最近夢中になっていたのは「魔道士戦記ヴェロム」だった。その作品はライトノベルのようなファンタジー冒険もので、主人公ヴェロムが仲間を作りながら失われたあるアイテムを探すという物であった。その作品は最初はゆっくりとした展開スピードだったが、ここ最近は物凄いハイテンポな展開で、一週でも見なければ内容が分からなくなるほどだった。

 なぜ、そこまで早くなったのか分からなかったが、第十九話の扉絵を見て気付いた。最終回になっていると! いままで愛読していたのになぜという気持ちでいっぱいになった。
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