笛智荘の仲間たち

異形のものたち

　都内のとある集合団地に人間の形をした何かに変身する事が好きな人々が集まっていた。

　「なんなんだあ？　こいつらは？」

　年に一度、秋の収穫祭と称して近所をパレードをする事が行われた。そのとき、その列にいたのはいわゆるフェチな恰好であった。着ぐるみ美少女マスクでこすぷれしたり、ゼンタイやラバーで肌を一切露出していなかったり、また女装などもあった。ここはコミケの子スプレイヤーよりも濃厚であった。

　「笛智さん、なんなんですか？」

　その集合団地の大家は近所のものからクレームをいれられたが、涼しい顔をしてこう言った。

　「ハレの日の異形ですぞな。いいんじゃないですか、何か困ったことはないでしょう」

　そのとき、ある女性は全身を覆われ記号化した自分を見てこう思った。

　「ここにこなければ、こんな世界知らなかったのに寝」

　彼女の身体は全身キャンパスみたいであった。彼女は幾何学模様の全身タイツを無理やり着せられていたが、それはそれで気持ちよかった。違う人格にログインしたみたいで。

　これは、魔法やようりょくや霊力ではなく、想像力と欲望で構成された異世界のような話である。