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日本の九竜城
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「なんだか・・・変な建物ですが・・・」
美優は絶句していた。今までいろんな建物を見てきたけど目の前にあるアパートほど奇天烈なものは見たことなかった。
「なんでも、最初の・・・これを作った大家さんの趣味だそうで。なんでもアントニオ・ガウディと岡本太郎と、誰だったか忘れたけど色んな建物をくっつけてしまったそうで、あっ大丈夫ですよ建築基準法問題ないそうですから。それに必要以上に太い鉄骨や鉄筋が入っているそうですから、少々の地震が来ても大丈夫です」
そう案内してくれたのは不動産屋の中年のうだつの上がらないような男だった。ボサボサの頭にしわだらけのスーツ、汚れた靴だ。最初対応してくれていた人に「風呂トイレ別でキッチンがあって家賃四万円以下!」という条件を言ったら、なぜかチェンジされて目の前の男になったうえに連れてこられた物件がこれだった。
「でも、本当なんですか? 家具付きでワンルームが一か月39800円なんて?」
そのアパートが建っていたのは都心から電車で三十分乗るとたどり着く聞いたこともない駅から、歩いて十分ほどの小高い丘の上にあった。その姿は何となく見たことがあった。
「お客さん、九竜城ってごぞんじですか?」
唐突に聞かれ美優はあっけにとられた。
「クーロン、ですか?」
美優の頭に何も浮かばなかった。ひいていうならウーロンだった、それってお茶だろうって。
「いやねえ、ここに住んでいる人が言うんですよ、昔香港にあった建物みたいだってね。見た目よりもここは広いので色んな住民が住んでいますけどね」
不動産屋の男が説明しようとしていると、四階建てのその建物のベランダに変な影があるのに美優は気が付いた。
「あれって?」
美優がそう指さすと、その影は少しこちらを見たようであったが、建物の中に入っていった。
「あの部屋は・・・女の人が入っているのですよ、本当に怪しい人じゃないですってば」
なんか誤魔化そうとしているような口調であったが、それは何かを隠蔽しようとしている様だった。
「そ、そうですか」
美優はそこで話を打ち切ったが、脳裏には一瞬であったが、それはまるでメタリックな輝きを持つ桃色の何かを纏っていたかのように感じた。本当の人の影のようだったが、あれっていったい何?。それが美優にとって迷宮魔道への招待状であった。
美優は絶句していた。今までいろんな建物を見てきたけど目の前にあるアパートほど奇天烈なものは見たことなかった。
「なんでも、最初の・・・これを作った大家さんの趣味だそうで。なんでもアントニオ・ガウディと岡本太郎と、誰だったか忘れたけど色んな建物をくっつけてしまったそうで、あっ大丈夫ですよ建築基準法問題ないそうですから。それに必要以上に太い鉄骨や鉄筋が入っているそうですから、少々の地震が来ても大丈夫です」
そう案内してくれたのは不動産屋の中年のうだつの上がらないような男だった。ボサボサの頭にしわだらけのスーツ、汚れた靴だ。最初対応してくれていた人に「風呂トイレ別でキッチンがあって家賃四万円以下!」という条件を言ったら、なぜかチェンジされて目の前の男になったうえに連れてこられた物件がこれだった。
「でも、本当なんですか? 家具付きでワンルームが一か月39800円なんて?」
そのアパートが建っていたのは都心から電車で三十分乗るとたどり着く聞いたこともない駅から、歩いて十分ほどの小高い丘の上にあった。その姿は何となく見たことがあった。
「お客さん、九竜城ってごぞんじですか?」
唐突に聞かれ美優はあっけにとられた。
「クーロン、ですか?」
美優の頭に何も浮かばなかった。ひいていうならウーロンだった、それってお茶だろうって。
「いやねえ、ここに住んでいる人が言うんですよ、昔香港にあった建物みたいだってね。見た目よりもここは広いので色んな住民が住んでいますけどね」
不動産屋の男が説明しようとしていると、四階建てのその建物のベランダに変な影があるのに美優は気が付いた。
「あれって?」
美優がそう指さすと、その影は少しこちらを見たようであったが、建物の中に入っていった。
「あの部屋は・・・女の人が入っているのですよ、本当に怪しい人じゃないですってば」
なんか誤魔化そうとしているような口調であったが、それは何かを隠蔽しようとしている様だった。
「そ、そうですか」
美優はそこで話を打ち切ったが、脳裏には一瞬であったが、それはまるでメタリックな輝きを持つ桃色の何かを纏っていたかのように感じた。本当の人の影のようだったが、あれっていったい何?。それが美優にとって迷宮魔道への招待状であった。
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