作業ロボにされたわたし

ジャン・幸田

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(5)第五資材倉庫部の日々

ルーティンワーク(2)

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 「なによこれ、セクハラよ!」
 47号の内臓にされた娘は怒りに震えていた。47号の外骨格のセンサーが全て内臓にされている娘の肉体の感覚として信号を送っていたから、本当に嫌だと思っていた。しかもその感覚は肌に直に触られているように感じたのだ。

 だから五十嵐が何気なく尻を触ったので恥ずかしさと怒りが爆発しそうになったけど、行動に移すことができなかった。作業ロボである以上「ロボット三原則」に縛られていた。そう人間の五十嵐に危害を加える事はできないのだ。

 「それにしても、とりあえずここにいたら人間のようには扱ってくれるからいいかしらね。私は今や本当にロボットだから」

 従業員が休憩中のとき、47号は自分の顔を鏡でみていた。人間がいない時はある程度自由に動くことができるから。

 鏡に映った47号の顔は実用性の塊のようなモノだった。口元は人間の女性の唇を模したフェイスガードをしているが、目元はバイザーのようなもので、頭部はおかっぱの女性を意識したようなヘルメットのようなものになっていた。その頭部を覆う下では娘の組織がナノマシーンで徐々に機械生命体のように変えられていた。

 本当ならすぐ外したいが、それすら許されることは無い状況だった。行動の自由があるといっても一定の範囲でしかできないようになっていたから。だからもどかしかった47号だった。

 休憩が終わり従業員たちが戻ってくれと47号は業務へと戻っていた。47号の内臓にされた肉体もナノマシーンによって変えられていたが、それには苦痛も伴った。痛みといったものを身体と心の両方が感じていたからだ。

 「こんな被せられたもの外したいわ! このままでは私本当のロボットになってしまう! 誰か助けてくれないのかしら?」

 47号は焦り気味だった。でもどうすることも出来なかった。47号は殻の中で人間から素体へと変えられていたから。若い男も知らなかった娘が機械と融合する素体へと生まれ変わっていく過程でこんな風に人前にさらされるのはある意味拷問みたいだった。誰も自分気付いてくれないから。
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