作業ロボにされたわたし

ジャン・幸田

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(5)第五資材倉庫部の日々

47号と班長と

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 この第五資材倉庫部って言う職場は、ある意味掃き溜めのようなとこであった。はたらいているのは老人ばっかりで、部品の管理はコンピューター任せ。人の管理は適当な班長だ仕事であった。その中で47号は部品をせっせと運ぶだけであった。

 こんな男どもの中で女性型ロボットが一体いるということは、どんなリスクがあるというのか誰だってわかることであった。なぜ配属されたのか、結論から言えば47号の人体改造のため適当に時間稼ぎをすることであった。 

 そもそもルルカを改造するのも商品ストックとして、さしたる目的もないのにである。本当に目的なく改造するのだから悪い人達である。もう少しマシな口封じの仕方があったといえるはずだけど、殺されるよりかはまだましなのかもしれなかった。

 47号が素体として完成したあかつきには、注文がきたら何か別の機会に改造するつもりでいたようだ。本当にいい迷惑であった。本当なら機会に改造する女なんか誰でも良かったらしい。47号は自我を取り戻したので、本当だったらこの倉庫を無茶苦茶に壊したいと思っていた。それぐらい嫌だった。

 でもそんなことはできなかった。なぜならロボット三原則に反するからだ。今はロボットとして働くしかなかった。それにしても本当にここは退屈な職場であった。ルーティンワークという言葉そのものであった。

 老人たちのセクハラをのぞけば、ハプニングは滅多に起きないし、せいぜい注文ミスぐらいが問題になるぐらいで、あとイレギュラー出荷である。だから老人たちは勤務時間内でも仕事がない時は、ぼーっとしているか将棋をしているか妄想しているとだけだった。47号はといえば動かなくなるだけであった。

 でも47号からすれば動かない時って言うほど恐ろしいことはなかった。47号いやルルカは自分の体がどんどん機械になっていくのが分かったからだ。ナノマシンが全身の組織を機械細胞に改造するのに3ヶ月かかるのだが、その間隠して置いておくならばロボットの中というわけである。

 ここに来て一か月で、もう1/3の組織が機械化細胞に置き換わっていうことを知っていた。おそらく2/3ぐらいまで改造されたらもはや人間に戻らなくなるのは確かであった。いっそのことならラブドールとしてでも売って改造された方がまだ人間らしい姿になるからいいなと思ったが、そんな鬼畜なものになりたくなかった47号は!


 これからどうなるだろうとルルカは不安に思ったが、そんな風に考えるのもこの職場があまりにもルーティンワークの暇な職場であったからだ。ある日のこと、従業員たちはいつものように、本当に暇を持て余して将棋を打ち始めた。しかも休憩時間ではないのにである。

 47号としては報告しないといけないが何を思ったか、老人達は47号を班長に押し付けた。班長と47号は2人きりになってしまった。 このことが二人とも深刻な事態を引き起こすことになろうとは思ってもいなかった。
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