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(5)第五資材倉庫部の日々

47号のシステムトラブル

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  第五資材倉庫というのは場末の酒場のように陰気なところだった。第五に置かれている資材は年に数回しか使わないような部品をストックしているところであった。本来なら必要な時に外部から小単位で取り寄せればいいが、ものによっては機密保持のために外注できない資材も取り扱っていた。

 47号は気付いていた。この倉庫にある部品は人体改造ユニットに使われるものが多いという事を。ただ、この倉庫で働く従業員は誰も知らなかった。だから、この倉庫にある部品が女の子を機械の部品に改造しているわけだ。

 そんな部署であるが、日によっては仕事らしい仕事もない時もある。それは素体改造が数日間行われない場合などだ。そんな日は広い地下倉庫を掃除することになる。

 47号は片桐とペアになって掃除をしていた。47号が在庫品を動かして下に溜まっているゴミやホコリを回収していたのだ。47号は小型重機並みのパワーがあるので中型自動車位の荷物は持ち上げるのは簡単だった。

 「なんだあ、機ぐるみ着ているだけでマッスル女になれるんだ。でも、嫌だわあたいは女の子なのに」

 47号は心の中でつぶやいでいた。改造されてから二か月近くになり、徐々に体の内部のナノマシーンによる改造が完成に近づいていた。変な話であるが内臓は生殖機能が存置されているので、もしかするとオプションでそういった機能を付けられて再改造されるのではないかと思っていた。まあ、そっちの方が人間らしい姿になれる可能性があったが。

 「47ちゃん、次にいこうね。それが終わったら昼休憩じゃ。終わったらわしはめしを食いに行くからのう」

 片桐はスケベで呑気であるが。その日の仕事はそれなりに真面目だった。どうやら自分のペースで出来る仕事の方が好きなようであった。だから47号にすれば退屈でしかたなかった。持ったままの姿勢でいないといけないからだ。

 「もうすぐ正午やな」

 片桐が話しかけた瞬間、47号に異常が発生した。頭を抱えたまま座り込んでしまったのだ。そのとき47号の電子脳に異常が発生した。それには片桐も驚き急いで班長を呼びにいった。正午になったとたん、47号の電子脳に収められていた機械娘統括プログラムに存在したバグが暴走し始めていた。

 「うー、うー、うー!」

 47号は頭を抱えてのた打ち回っていた。理由は分からないが電子脳と残存生体脳の神経接続回路に負荷がかかったようだ。それには頭を抱えるしかなかった。そのとき班長はマニュアルを持って駆け寄って来た。そのとき。47号は立ち上がったので安堵したが、次の瞬間大変な事をいった。

 「わたしは波瀬ルルカ! いま機械化されつつある女です!」

 47号が自我を取り戻した瞬間だった。またガイノイドの中に人間がいる事も明らかにしてしまった。
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