上 下
34 / 50
(3)機ぐるみ着せられた!

人間の娘でなくなっちゃった・・・

しおりを挟む
 ラバースーツを着た女性の画像を見せられた時、彼女はまるで人間ではないような感じがした。ラバーは有機物であるとはいえ、怪しく黒光する材質なので普通の服を纏っているのとはわけが違ったからだ。

 そのとき、わざわざそんな変な格好をする意味がわからなかったけど、いまのわたしはたぶんそんな姿に近づきつつあるのだろうとしているのかとおもうと、恐ろしさを感じていた。もう人間ではなくなってしまうと!

 わたしは何分たったのかわからないが、ずっと固定されていた。その間も全身の毛穴になりかが入り込むような感覚にもだえていた。それは快感というか気色悪いというかはっきりしないものだった・・・

 ただ、わたしはその間に確実に人間ではなくなっているのは確かなようだった。感覚がだんだんおかしくなっていた、そう機械になっているような。その間もすこしずつ私の身体が固いものに変化していくような感じだった。

 このままでは、機械にされてしまう逃げなきゃ! という思いがあったが身体は固定されているのもあるけど、あまりの気持ちよさで快楽に身を委ねてしまった。もう、私は人間の娘ではなくなってしまったのだ。そう機械の身体の虜になってしまった。

 どれぐらい時間が経過したのかわからないけど、わたしの身体は唐突に鋳型から押し出されてしまった。わたしは身体を持ち上げたが感じたことのない感覚に襲われた。わたしは手のひらを目の前で広げたが、それは黒く怪しく表面が光っていた。そのときマリアン達があらわれ目の前に姿見が運び込んできた。

 そこには、頭のてっぺんから脚の先まで、ゴムのようなもので覆われた人形のような私が写っていた。あのラバースーツを着た女のようになっていた。顔も目鼻口の輪郭が浮かんでいたが、まるでマスクをしているような感じになっていた。信じたくはなかったがそうれがわたしの今の姿だった。わたしは全身真黒なゴム人形のようになっていた。しかも額に「47」と書かれていた。

  「お目覚め如何? 生まれ変わって気持ちいいでしょ。ところでその姿はどう? あなたの皮膚組織を機械皮下組織と一体化したのよ。もうすぐあなたも仲間になるんだから」

 わたしは、何かを言おうとしたがしゃべることが出来なかったので、もどかしいといったしぐさをしていたところ、マリアンが気づいて顎にあるスイッチを押してくれた。

 「ごめんね、あなたの人工発声装置のスイッチを入れていなかったわ。それじゃあ言ってみて、あなたの名前を」

 わたしは瑠璃花に決まっているじゃん! そう思って口に・・・いや人間だった時の声帯は使用不能になっていたので、スピーカーからややエコーのかかった声をだしたけど、意外な言葉が出てきた。

 「わたしの名は・・・47よ! カザマツ・ファクトリー社ガイノイド・ファクトリー部門東日本工場製マリア式ガイノイド47号マーク7。製造番号はKFG10385、製造年月日は・・・」

 なんと、自分の名前が言えなくなっていたのだ! もう機械っていうことなのわたしは!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

機械娘の機ぐるみを着せないで!

ジャン・幸田
青春
 二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!  そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!

ジャン・幸田
ファンタジー
 派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!  遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!  その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。 *小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田
SF
 何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。  過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。

ロボットウーマン改造刑を受けた少女

ジャン・幸田
SF
 AI搭載型ロボットが普及した未来、特に技能のない人間たちは窮地に陥っていた。最小限の生活は保障されているとはいえ、管理され不自由なデストピアと世界は化していた。  そんな社会で反体制活動に参加し不良のレッテルを貼られた希美は保安処分として「再教育プログラム」を受けさせられ、強制的にロボットと同じ姿に変えられてしまった! 当局以外にはロボット以外の何者でもないと認識されるようになった。  機械の中に埋め込まれてしまった希美は、ロボットウーマンに改造されてしまった!

転校してきてクラスメイトになったのが着ぐるみ美少女だった件について

ジャン・幸田
恋愛
 転校生は着ぐるみ美少女? 新しいクラスメイト・雛乃は着ぐるみ美少女のマスクを被り一切しゃべることがなかった!  そんな彼女に恋をした新荘剛の恋の行方は? そもそも彼女は男それとも人間なのか? 謎は深まるばかり! *奇数章では剛の、偶数章では雛乃の心情を描写していきます。 *着ぐるみは苦手という方は閲覧を回避してください。予定では原稿用紙150枚程度の中編になります。

スレイブZ!

ジャン・幸田
ホラー
 「今日からお前らの姿だ!」  ある日、地球上に出現した異世界人は地球人たちの姿を奪った!   「スレイブスーツ」と呼ばれる全身タイツのようなのを着せ洗脳するのであった。

処理中です...