1 / 8
ミズタマリからの誘惑
序章:小学校の夜のプール
しおりを挟む
子供の頃、夏休み行きたいといえば海水浴だった。砂浜で砂遊びをしてもよし、泳いでもよし、スイカ割など友達や兄弟が集まれば楽しくてよかった。
しかし、普段は両親共稼ぎの家庭なので、連れて行ってもらえるのは夏休みの期間中、一度あればよかった。夏休みが一ヶ月以上もあるのに勿体なかった。そこで代わりに行っていたのが小学校のプールだった。
小学校の時には異性について意識をすることが殆ど無かったので、いま思えば女子の水着をもっと良く見とけばよかったのにと思う。なぜなら中学、高校とも進学先にプールが設置されていなかったからだ。だから今思い出そうとしても、同級生の水着を見た記憶がないのだ。
まあ、彼女いない暦二十年だったので、一緒に泳ぎに行ったことがないから当たり前だが、実は小学六年の夏のあの晩の忌まわしい体験のせいで水着をみるのも嫌になったからだ。さすがに最近は徐々にその記憶も薄らいできたので大丈夫になったが、今でも時々夢にみるのだ。あの時おきたことはいったいなんだったんだろうかと。
あれは小学生六年夏の夜の事だ。あとで大人たちによって封印され、公式記録では全く違う内容が捏造されたが、それは恐ろしい体験だった。六年生といえばもう少しで大人になれるのではないかと思い上がる年頃だった。なので、夜中に年上の高校生がやるような徘徊をしていた。
その晩、自分は友人のケンタとイサムと三人で夜の街を歩き回っていた。しかし当時何もない田舎町でコンビニすらないところだったので、遊びに行くところがなかった。その頃、ヒマな夜は廃墟や墓地に忍び込んでは肝試しをしていたが、それも飽きてしまっていた。そこで二人に小学校のプールに行こうといった。すると気があったのか、同じ事を思っていたということで出発した。
ほどなくして到着したプールは夜の闇にその水面を浮かべていた。それにしても昼間と違い恐ろしい雰囲気だったが、何かに誘われているかのような気がした。そうしていると必要なものを持っていないことに気付いた。水着を誰も持っていない事を!
「いいじゃん、アキラ。昼間とちごうて誰も見てへんから、すっぽんぽんで入ろうや! 大きな風呂だと思えばいいじゃん!」
「そうじゃ! 全部脱いではいりゃ、後で濡れたパンツを履いてかいらんでいいじゃんかよ。そうだケンタがいうとおりじゃのう」
ケンタとイサムは言ったが、抵抗感があった。でも先生にやってはいけないということをやる快感を感じたくなって、結局プールの柵のうち破れているところから侵入し、更衣室の前で着ているものを全て脱いで、生まれたままの姿で飛び込んだ。
最初のうちは気持ちよかったが、昼の暑い空気が残っているとはいえ、水の方は冷たく感じてしまった。それで三人ともプールから上がって更衣室の前まで引き返した。
「なんか寒いのう! ひとつ大変な事を気付いたんだが、濡れた身体を拭くものがないだろう! それに着替えも! どうすりゃええんかよ」
そんな事を自分で言ったことは覚えているが、二人は口を合わせて一つの事を言った。
「なに、いってんのよ! そこにバスタオルもあるし水着だってあるだろ。とりあえず水着を着てもう一度泳ごうぜ」
するとプールにある備品倉庫の中から紙の包みを取り出すと、なかからバスタオルと不思議な感じのする競泳水着を出して来た! それってどういうことなんだと思っていたが、それが悲劇の始まりだと誰も知らなかった。
しかし、普段は両親共稼ぎの家庭なので、連れて行ってもらえるのは夏休みの期間中、一度あればよかった。夏休みが一ヶ月以上もあるのに勿体なかった。そこで代わりに行っていたのが小学校のプールだった。
小学校の時には異性について意識をすることが殆ど無かったので、いま思えば女子の水着をもっと良く見とけばよかったのにと思う。なぜなら中学、高校とも進学先にプールが設置されていなかったからだ。だから今思い出そうとしても、同級生の水着を見た記憶がないのだ。
まあ、彼女いない暦二十年だったので、一緒に泳ぎに行ったことがないから当たり前だが、実は小学六年の夏のあの晩の忌まわしい体験のせいで水着をみるのも嫌になったからだ。さすがに最近は徐々にその記憶も薄らいできたので大丈夫になったが、今でも時々夢にみるのだ。あの時おきたことはいったいなんだったんだろうかと。
あれは小学生六年夏の夜の事だ。あとで大人たちによって封印され、公式記録では全く違う内容が捏造されたが、それは恐ろしい体験だった。六年生といえばもう少しで大人になれるのではないかと思い上がる年頃だった。なので、夜中に年上の高校生がやるような徘徊をしていた。
その晩、自分は友人のケンタとイサムと三人で夜の街を歩き回っていた。しかし当時何もない田舎町でコンビニすらないところだったので、遊びに行くところがなかった。その頃、ヒマな夜は廃墟や墓地に忍び込んでは肝試しをしていたが、それも飽きてしまっていた。そこで二人に小学校のプールに行こうといった。すると気があったのか、同じ事を思っていたということで出発した。
ほどなくして到着したプールは夜の闇にその水面を浮かべていた。それにしても昼間と違い恐ろしい雰囲気だったが、何かに誘われているかのような気がした。そうしていると必要なものを持っていないことに気付いた。水着を誰も持っていない事を!
「いいじゃん、アキラ。昼間とちごうて誰も見てへんから、すっぽんぽんで入ろうや! 大きな風呂だと思えばいいじゃん!」
「そうじゃ! 全部脱いではいりゃ、後で濡れたパンツを履いてかいらんでいいじゃんかよ。そうだケンタがいうとおりじゃのう」
ケンタとイサムは言ったが、抵抗感があった。でも先生にやってはいけないということをやる快感を感じたくなって、結局プールの柵のうち破れているところから侵入し、更衣室の前で着ているものを全て脱いで、生まれたままの姿で飛び込んだ。
最初のうちは気持ちよかったが、昼の暑い空気が残っているとはいえ、水の方は冷たく感じてしまった。それで三人ともプールから上がって更衣室の前まで引き返した。
「なんか寒いのう! ひとつ大変な事を気付いたんだが、濡れた身体を拭くものがないだろう! それに着替えも! どうすりゃええんかよ」
そんな事を自分で言ったことは覚えているが、二人は口を合わせて一つの事を言った。
「なに、いってんのよ! そこにバスタオルもあるし水着だってあるだろ。とりあえず水着を着てもう一度泳ごうぜ」
するとプールにある備品倉庫の中から紙の包みを取り出すと、なかからバスタオルと不思議な感じのする競泳水着を出して来た! それってどういうことなんだと思っていたが、それが悲劇の始まりだと誰も知らなかった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!
ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった!
もしかすると 悪役にしか見えない?
私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」
そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!

人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?


人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!
ジャン・幸田
ファンタジー
派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!
遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!
その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。
*小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる