6 / 8
ミズタマリからの招待
(1)再びやってきた
しおりを挟む
それから月日は過ぎ、二十歳の俺は工場に勤務していた。あれ以来プールに行くのも恐ろしくなってしまい、中学も高校も水泳の授業がない(プールがないので出来ない)ところに進学したほどだった。
あの晩のことは昨日起きたことのように覚えているが、いまも意味が判らなかった、そして消えていった二人の運命もだ。
今年の夏、あのプールに来ていた。なんでも数年前から原因不明の地盤沈下で使用不可能になり敷地は立ち入り禁止になっていた。もっとも小学校も今年の春に廃校になってしまったが。
俺は立ち入り禁止の立札を無視し、無理やり中に入っていった。それにしても小学校が廃校になったからといっても建物ではなく敷地も入りにくいように板塀で囲んでいる意味がわからなかった。これではまるで危険地帯ということではないだろうか?
プールの前まで来たとき、祠の方向に視線をやった。あの晩、河童がうじゃうじゃとうごめいていた池が出現したときの光景がフラッシュバックしてきた。
今は昼間の強烈な太陽が降り注いているが、あの幻の池がぼんやりと目に浮かんできた。あの池は今もかすかに存在するかのように。ふと俺は変な想像をした。もしかすると奴らがやってきたのは異次元で、あの池はこの世界とのゲートではなかったのだろうか?
そういうことは、いなくなった二人はあの世界で河童として今も生きているような気がした。そして、一人だけ逃れた俺を今も仲間にしようとしているのではないかと。
ここにいたら警察にでも通報されて面倒くさいことになると思った俺は、早く出ようとして歩き出した。するとプールの脇で陥没した窪地に出来たミズタマリに目をやると何やら見たことのあるものを見つけた。それを見た俺は戦慄した。あの晩二人が持ってきた謎の水着が入っていたのと同じ袋だった!
俺は、中身を確かめてみた。するとそれにはスクール水着ではなく格好いい全身タイツのような競泳水着が入っていた。おもわず手にとって見たが、不思議な感触がするものだった。思わず着てみたいと思ったが、いくらここが立ち入り禁止でも屋外で水着に着替えるわけにもいかないので、俺はそのまま袋をもって敷地外に脱出した。
あの晩のことは昨日起きたことのように覚えているが、いまも意味が判らなかった、そして消えていった二人の運命もだ。
今年の夏、あのプールに来ていた。なんでも数年前から原因不明の地盤沈下で使用不可能になり敷地は立ち入り禁止になっていた。もっとも小学校も今年の春に廃校になってしまったが。
俺は立ち入り禁止の立札を無視し、無理やり中に入っていった。それにしても小学校が廃校になったからといっても建物ではなく敷地も入りにくいように板塀で囲んでいる意味がわからなかった。これではまるで危険地帯ということではないだろうか?
プールの前まで来たとき、祠の方向に視線をやった。あの晩、河童がうじゃうじゃとうごめいていた池が出現したときの光景がフラッシュバックしてきた。
今は昼間の強烈な太陽が降り注いているが、あの幻の池がぼんやりと目に浮かんできた。あの池は今もかすかに存在するかのように。ふと俺は変な想像をした。もしかすると奴らがやってきたのは異次元で、あの池はこの世界とのゲートではなかったのだろうか?
そういうことは、いなくなった二人はあの世界で河童として今も生きているような気がした。そして、一人だけ逃れた俺を今も仲間にしようとしているのではないかと。
ここにいたら警察にでも通報されて面倒くさいことになると思った俺は、早く出ようとして歩き出した。するとプールの脇で陥没した窪地に出来たミズタマリに目をやると何やら見たことのあるものを見つけた。それを見た俺は戦慄した。あの晩二人が持ってきた謎の水着が入っていたのと同じ袋だった!
俺は、中身を確かめてみた。するとそれにはスクール水着ではなく格好いい全身タイツのような競泳水着が入っていた。おもわず手にとって見たが、不思議な感触がするものだった。思わず着てみたいと思ったが、いくらここが立ち入り禁止でも屋外で水着に着替えるわけにもいかないので、俺はそのまま袋をもって敷地外に脱出した。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
引きこもりアラフォーはポツンと一軒家でイモつくりをはじめます
ジャン・幸田
キャラ文芸
アラフォー世代で引きこもりの村瀬は住まいを奪われホームレスになるところを救われた! それは山奥のポツンと一軒家で生活するという依頼だった。条件はヘンテコなイモの栽培!
そのイモ自体はなんの変哲もないものだったが、なぜか村瀬の一軒家には物の怪たちが集まるようになった! 一体全体なんなんだ?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
扉の向こうは黒い影
小野 夜
ホラー
古い校舎の3階、突き当たりの隅にある扉。それは「開かずの扉」と呼ばれ、生徒たちの間で恐れられていた。扉の向こう側には、かつて理科室として使われていた部屋があるはずだったが、今は誰も足を踏み入れない禁断の場所となっていた。
夏休みのある日、ユキは友達のケンジとタケシを誘って、学校に忍び込む。目的は、開かずの扉を開けること。好奇心と恐怖心が入り混じる中、3人はついに扉を開ける。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる