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第参章:この世界で二人生きていくためには
076.試着
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分厚い埃を纏ったその箱はかなり古そうであったが、美しい刺繍が施されたキャンパス地のようなもので出来ていた。その箱だけでもかなりの骨董的な価値がありそうだった。
埃を払いのけて箱を開けるとそこには白い箱がいくつも入っていた。そこには色々な言葉が書かれていた。それを見たシフォンヌは思い出すかのようにいった。
「この衣装はお世話になった赤龍帝陛下から頂いたものなんだ。なんでも意思を持つ甲冑で着用した者の潜在能力を最大限引き出すものなんだ。
しかも状況に応じて変化するものなんだ。訓練を積めば天空を駆けめくることも水中を潜ることも可能になるんじゃよ。まあ、わしでも全てを使いこなせる事は出来なんだがな」
そういってシフォンヌは床に白い箱を並べ始めながら、箱に書かれている文章を読んでいた。どうも、久しぶりに出したので、どの箱がどうなるかを確認していたようだった。
「すまんのう。これを出すのは二十五年ぶりなんだ。その時には譲るのが適任だと思った魔道士の娘に着せようとしたんだけど、こいつが・・・そうそう、この衣装はミランフォという名前なんだが拒否したからな着られるのを! まああんたなら大丈夫だよ、きっと」
そういってシフォンヌはアサミの肩に手をかけながら、アサミの身体を撫で回していた。アサミは物凄く嫌な気がしたが、いったい何の意図があってそうしているのかが意味が判らなかった。
「アサミさんだったよね。おねがいだから試着してもらえないかな。たぶんあんたなら受け入れられるだろうけど、ミランフォを最後に見ておきたいから」
「それって、わたしがこの箱に入った衣装を着てということですか?」
「そうだ、わしが手伝うから。そのまえに、ヴァリさんもタクヤさんとやらも、男は出て行って頂戴!」
シフォンヌと二人きりになったアサミは着替えをするようにいわれた。そういえば、この世界に来てからはじめての着替えだった。アサミはふわっとしたような中世欧州のどこかの民族衣装のようなドレスを脱いだ。するとシフォンヌは食い入るようにアサミの身体を見ていた。
「おばさん、わたしの身体になんかおかしなところでもあるのですか?」
「いいんや、あんたはキャック族みたいな娘だとおもったけど、実際は人間とネコが混じったような姿だな」
「そういえば、わたしキャック族の娘みたいといわれたのですが、一体どんな人たちなんですか?」
「わしもキャック族の血が半分だけ流れている純粋種ではないから違うが、全身がしなやかな筋肉で覆われていて、薄っすらとした毛で覆われているんじゃよ。でも、あんたの身体は人間として綺麗な身体よ」
そういわれ、アサミが改めて自分の身体を見ると、永川亜佐美が一番綺麗だった時代の身体つきに近いようだった。この身体もエンジェルに再構成してもらったであったけど、ネコ耳と尻尾という必要なのか不要なのかわからないものが付いていた。
そういってみていたらいきなりシフォンヌはアサミの尻尾を強く握ってきた。その衝撃でアサミは思わずしゃがみこんでしまった。
「い、いったい何をされるのですか? 痛いです」
「いや、すまん。これから着る衣装だが、一応尻尾が出るようになっているんじゃよ。それだから、どれくらい弾性があるかを確かめたんじゃよ。まあ、段階に応じて変化する衣装だから尻尾が収納される場合もあるけど」
「変化する衣装ですか・・・」
アサミはそうつぶやいたが、シフォンヌに下着を脱ぐようにといわれ、アサミは一糸纏わぬ姿になってしまった。たしかにこれでは男は部屋から出て行けといわれるわけだ。
そしてシフォンヌはインナーのようなものを取り出した。
「アサミさん。これが第一の関門だよ。この胴下衣が主と認められるかどうかだ」
どうやら、その衣装には意志というか自我という物が存在するようであった。
埃を払いのけて箱を開けるとそこには白い箱がいくつも入っていた。そこには色々な言葉が書かれていた。それを見たシフォンヌは思い出すかのようにいった。
「この衣装はお世話になった赤龍帝陛下から頂いたものなんだ。なんでも意思を持つ甲冑で着用した者の潜在能力を最大限引き出すものなんだ。
しかも状況に応じて変化するものなんだ。訓練を積めば天空を駆けめくることも水中を潜ることも可能になるんじゃよ。まあ、わしでも全てを使いこなせる事は出来なんだがな」
そういってシフォンヌは床に白い箱を並べ始めながら、箱に書かれている文章を読んでいた。どうも、久しぶりに出したので、どの箱がどうなるかを確認していたようだった。
「すまんのう。これを出すのは二十五年ぶりなんだ。その時には譲るのが適任だと思った魔道士の娘に着せようとしたんだけど、こいつが・・・そうそう、この衣装はミランフォという名前なんだが拒否したからな着られるのを! まああんたなら大丈夫だよ、きっと」
そういってシフォンヌはアサミの肩に手をかけながら、アサミの身体を撫で回していた。アサミは物凄く嫌な気がしたが、いったい何の意図があってそうしているのかが意味が判らなかった。
「アサミさんだったよね。おねがいだから試着してもらえないかな。たぶんあんたなら受け入れられるだろうけど、ミランフォを最後に見ておきたいから」
「それって、わたしがこの箱に入った衣装を着てということですか?」
「そうだ、わしが手伝うから。そのまえに、ヴァリさんもタクヤさんとやらも、男は出て行って頂戴!」
シフォンヌと二人きりになったアサミは着替えをするようにいわれた。そういえば、この世界に来てからはじめての着替えだった。アサミはふわっとしたような中世欧州のどこかの民族衣装のようなドレスを脱いだ。するとシフォンヌは食い入るようにアサミの身体を見ていた。
「おばさん、わたしの身体になんかおかしなところでもあるのですか?」
「いいんや、あんたはキャック族みたいな娘だとおもったけど、実際は人間とネコが混じったような姿だな」
「そういえば、わたしキャック族の娘みたいといわれたのですが、一体どんな人たちなんですか?」
「わしもキャック族の血が半分だけ流れている純粋種ではないから違うが、全身がしなやかな筋肉で覆われていて、薄っすらとした毛で覆われているんじゃよ。でも、あんたの身体は人間として綺麗な身体よ」
そういわれ、アサミが改めて自分の身体を見ると、永川亜佐美が一番綺麗だった時代の身体つきに近いようだった。この身体もエンジェルに再構成してもらったであったけど、ネコ耳と尻尾という必要なのか不要なのかわからないものが付いていた。
そういってみていたらいきなりシフォンヌはアサミの尻尾を強く握ってきた。その衝撃でアサミは思わずしゃがみこんでしまった。
「い、いったい何をされるのですか? 痛いです」
「いや、すまん。これから着る衣装だが、一応尻尾が出るようになっているんじゃよ。それだから、どれくらい弾性があるかを確かめたんじゃよ。まあ、段階に応じて変化する衣装だから尻尾が収納される場合もあるけど」
「変化する衣装ですか・・・」
アサミはそうつぶやいたが、シフォンヌに下着を脱ぐようにといわれ、アサミは一糸纏わぬ姿になってしまった。たしかにこれでは男は部屋から出て行けといわれるわけだ。
そしてシフォンヌはインナーのようなものを取り出した。
「アサミさん。これが第一の関門だよ。この胴下衣が主と認められるかどうかだ」
どうやら、その衣装には意志というか自我という物が存在するようであった。
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