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第伍章:神殿にて

128.登山開始

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 一行は登山しはじめたが、入り口には数人の道先案内人が待機していたが、頑張ってねと言って見送ってくれた。ここは魔導士研修生の関門の一つとして定番のようで、それとわかると勧誘しないことが決まりのようだった。

  「そういえば教官は、魔導士たるもの依頼があれば自力でたどり着かないといけないこともあるといっていたけど、それってこういうことだったのかしら。それにしてもこの地図の意味わかんないや」

  ルンファは地図を見ては登山道の脇にある高い木の上に登っていた。どうも登山道よりも最短で行けるルートを探しているようだった。

  「やめときよサル娘! お前は木登りが上手で木から木へと渡っていくことが出来るだろうけど、そのほかの三人には出来ない芸当だろそれは。それに、ここの登山道を最短で登るのは無理だぞ。前方にそびえる無数の峰のうち、どこに神殿があるのかわからんだろ!」

   ファビューは相変わらず地図を見ていたが、正しい見方をタクヤに教えてもらったのでなんとなく理解できるようになった。それによれば、理由はわからないけどダミーのような登山道が何本も途中で分岐しているうえ、本道もループ状になっていたりひどいところではらせん状になっているので、わかりにくいように書いてはいるけど、それが実情をあらわしているのだということだった。

  「タクヤよ、なんとかなりそうだけど、依然聞いた話では朝早く出発しても途中の宿坊で泊まらないと到達できないそうだ。だから、その宿坊までは到着したいものだな」

  「ファビューさん。まだ、そんなにかかるのですか?」

  「アサミ、仕方ないんだ。多くの参拝客は宿坊横にある拝殿までで登山は終わりなんだが、わしたちの目的地は最も奥にある神殿。だから、そこまでいかないといけないんだ」

  「それにしても、一般の参拝客を殆ど見ないけどどうしてかな」

  「そりゃ、ここの神殿は道程が過酷すぎるからだ。大抵登るのは信心深い者か冒険が好きな登山客か魔導士ぐらいしか来ないからだ。それに迷宮みたいで疲れるし道先案内人を雇っていたらお金がいくらあっても足らなくなるというわけさ。それよりも夕刻の門限までには宿坊に着きたいな」

  そういったファビューであったが、予想以上に迷宮を抜けるのに手間取ったため、あともう少しの地点で門限の時刻を過ぎてしまった。結局一行はその日は非常用の山小屋で泊まる羽目になってしまった。
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