蛇女にされる!

ジャン・幸田

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終編:蛇女

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 トメとして最期に認識したのは自分の戦慄の姿であった。それは蛇の鱗に覆われた人の形をした何かであった。その身体はトメの細い身体であった。その姿を認識した瞬間、トメは人間としての自我を永遠に失い蛇女としての自我が芽生えた。そして蛇女が発した言葉は最早人間でないことを示していた。

 「殿下、はやく私を完全な蛇女にしてください」

 そういって蛇女が差し出した腕から急速に指は失われ、両足は融合し始め一つの棒状のものへと変化していった。そのとき、トメの身体を構成していたものは蛇女の鱗の中で消化されてしまった。トメは人間として”死”を迎えたわけだ。

 「さあ、我と交われ!」

 そういうと白蛇の男根は蛇女の愛穴に男根を挿入していき、なにかしらかの物質と激しい刺激を与えた。すると蛇女の頭の形状が変わり人間のそれではなく鋭角的なものへとなり、そして口が開き鋭い目が浮かび上がった。そう蛇の頭部になった。

 「ああ、生まれてきて嬉しいですわ。あんな貧乏で卑しい人間の娘でいたことは忌まわしかったですわ!」

 そういうと蛇女は白蛇と激しく交わった。その交わりは大地に共鳴を起こし、付近の山河は地響きを立て揺れ始めた。そうしているうちに蛇女は急速に蛇へと変わっていった。そして二つの蛇は妖とともに何処かへと消えていった。

 翌朝、村人たちが社を調べた時、おぞましいモノを見る事となった。社の前には宴によるものと思われる食べ残しが散乱していたが、その中に見覚えある着物がボロボロになっていた。それはトメのものであった。そして傍には白い骨が散乱していた。それは・・・人間のものに違いなかった。

 その白い骨は手足とおぼしきものは比較的原型があったが、頭部は砕けていた。トメの姿を昨日見た村人はこう推理した。トメは妖の宴をのぞき見したが為に殺され饗宴の贄になったと。そのため穢れたものとされたトメのものと思われる白い骨はその場で浄化の炎に投じられた。

 その後、村で娘は夜社に行ってはならないという掟が出来た。破った場合は妖に喰われてしまうと。一方で村ではこんな噂があった。新月の夜に村の随所で巨大な蛇でも通ったかのような跡が出来るというものだ。そして、それをつけるのはトメを食った蛇女ではないかというものだ。なぜなら蛇女のおぼしき跡はトメの家”だった”ところが。もっとも、その家は住んでいた者がトメがいなくなってから程なくして全員がいなくなっていたが。

 時代は下り村は相次ぐ災害によって住む者が殆どいなくなったころ、たまたま新月の晩に社があった場所で恐ろしい光景を見たという噂話が領内で囁かれた。妖たちが巨大な蛇の集団と一緒に宴をしているという。そして白と黒の蛇が淫靡な交わりをしていたと・・・
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