26 / 28
25
しおりを挟む
闘技場の興奮は最高潮であった。今まで見たことのない決闘を想っての事だ。女性と男性が戦う、しかもハンデなしでやるとどうなるのかと。
二人は貴賓室にいる国王陛下に臣下の礼を取った。その瞬間、観客も同様な行為をしたので静まり返ったが、二人が兜をかぶったとき、歓声がまた高まった。
「それでは二人の決闘を執り行う。この決闘は仇討ではないので勝者は敗者に対し一つだけ望むことが出来る! なお、それは敗者が生きていた時に限る! また、規則は長槍による試合と同様とする。どちらかが戦意を喪失するか騎馬の下に落ちれば終了だ!」
そう宣言したのは騎士団長であった。形の上では騎士団に決闘を申し込んできたので、ケネスサイドとして出ていた。一方のカリンの側にはローザが甲冑姿でいた。
「いいのカリン? 本当に?」
「いいよ、かならずケネス様のお嫁さんになるのよ! どんな結果になっても!」
二人が位置についた時、国王陛下の前には大きな鐘が用意されていた。御前試合でもあるので決闘の開始は国王が決めるわけだ。その瞬間を全観客が待っていた。そして陛下が鐘を鳴らす装置に指を掛けた瞬間、二人は猛スピードで闘技場の中央に駆け出し、激しく槍が衝突した。その勢いは激しいモノであり、並みの騎士なら吹き飛ばされてもおかしくないものだった。しかし、二人にとって、それは準備運動であった。
激しい金属音が連打によって生み出され、それをリズムとして観客の歓声も大きくなった。二人は互角と言ってもよかった。でも、ローザだけは不安になっていた。
「カリンって、持久力に難があったはずじゃ・・・これでは勝てないわ!」
二人は貴賓室にいる国王陛下に臣下の礼を取った。その瞬間、観客も同様な行為をしたので静まり返ったが、二人が兜をかぶったとき、歓声がまた高まった。
「それでは二人の決闘を執り行う。この決闘は仇討ではないので勝者は敗者に対し一つだけ望むことが出来る! なお、それは敗者が生きていた時に限る! また、規則は長槍による試合と同様とする。どちらかが戦意を喪失するか騎馬の下に落ちれば終了だ!」
そう宣言したのは騎士団長であった。形の上では騎士団に決闘を申し込んできたので、ケネスサイドとして出ていた。一方のカリンの側にはローザが甲冑姿でいた。
「いいのカリン? 本当に?」
「いいよ、かならずケネス様のお嫁さんになるのよ! どんな結果になっても!」
二人が位置についた時、国王陛下の前には大きな鐘が用意されていた。御前試合でもあるので決闘の開始は国王が決めるわけだ。その瞬間を全観客が待っていた。そして陛下が鐘を鳴らす装置に指を掛けた瞬間、二人は猛スピードで闘技場の中央に駆け出し、激しく槍が衝突した。その勢いは激しいモノであり、並みの騎士なら吹き飛ばされてもおかしくないものだった。しかし、二人にとって、それは準備運動であった。
激しい金属音が連打によって生み出され、それをリズムとして観客の歓声も大きくなった。二人は互角と言ってもよかった。でも、ローザだけは不安になっていた。
「カリンって、持久力に難があったはずじゃ・・・これでは勝てないわ!」
4
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説

【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!
しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中

神様、来世では雑草に生まれたいのです
春先 あみ
恋愛
公爵令嬢クリスティーナは、婚約者のディスラン王子に婚約破棄を言い渡された。
これは愚かな王子が勝手に破滅する身勝手な物語。
…………
リハビリに書きました。一話完結です
誰も幸せにならない話なのでご注意ください。

自分の家も婚約した相手の家も崩壊の危機だと分かったため自分だけ逃げました
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
ミネルヴァは伯爵家に養女として引き取られていたが、親に虐げられながら育っていた。
侯爵家の息子のレックスと婚約させられているが、レックスの行動を見て侯爵家は本当は危ないのでは?と嫌な予感を抱く。
調べたところレックスの侯爵家は破綻寸前であることがわかった。
そんな人と心中するつもりもないミネルヴァは、婚約解消をしようとするがどうしても許してもらえないため、家と縁を切り自分だけ逃げることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる