19 / 28
18(女性騎士)ローザ目線
しおりを挟む
ローザにとってカリンは常にトップを争っている女騎士のライバルであった。でも一方で良き友人でもあり、また主従関係にあった。騎士団では対等でも貴族の社交界ではローザの方がいつも侍女として振舞っていた。それに不満がないわけでもないが、カリンの父であるツーゼ伯は孤児だったローザを騎士団で保護してくれた恩人だった。
そんなことで騎士では特別な事でもなければ入れない王宮に侍女として一緒に行ったローゼはそのまま王宮内に宿泊していた。結局のところ婚約破棄に関する裁判が深夜となったため、火急の要件がなければ王宮の外に出られなくなったため、特別に泊まることになった。
あてがわれた部屋は男だったら衛兵部屋であるが、女だというので女官部屋の空き室だった。普段は使われていないとはいえ、それでも騎士団の宿舎よりも綺麗だった。そこで二人とも堅苦しい宮中用のドレスを脱ぎ捨て、普段着ている女騎士の夜の衣装に着替えていた。それは、火急な要件の時に出兵できるように準備しているものであったが、今のところそんな状況でもなかった。ただ、こんな時には役に立った。着替えはそれしか持っていなかったから。
「ねえカリン大丈夫なの?」
ローザはいつもの調子に戻っていた。騎士団のメンバー同士では騎士階級が優先し身分階級は関係しないというツーゼ伯の方針で、同期の二人はタメ口で構わないわけだ。
「まあ、衝撃を受けなかったといえばウソになるけど、結果としてよかったわ。これでケネス先生にお願いできるわ。本当に都合よかったわ、陛下のお墨付きをいただけたしね」
カリンの表情は疲れていたが嬉しそうだった。彼女の想い人はケネスだから。
「でも、騎士団長は許してくれるかな? それにケネス先生も・・・先生の方が問題よ! なんだって女の気配もないし、男が好きだという噂もあるし」
「そうね、でも騎士って本当に強い相手を結婚相手に選ぶでしょ! だから相手の事など何もわからなかった元婚約者よりも絶対いいわよ」
二人は騎士の夜の衣装に着替えた。それはそのまま甲冑を羽織ってもいいように比較的軽装だった。そして女性の場合は体形がはっきりしてしまう。二人とも騎士として鍛えられているので筋肉質な体つきだった。
「そうよね! やっぱり男は強くなければね。それにしても大丈夫なの? ケネス先生って鈍感だと思うよ」
ローザがそう言うとカリンはクスクス笑いだした。
そんなことで騎士では特別な事でもなければ入れない王宮に侍女として一緒に行ったローゼはそのまま王宮内に宿泊していた。結局のところ婚約破棄に関する裁判が深夜となったため、火急の要件がなければ王宮の外に出られなくなったため、特別に泊まることになった。
あてがわれた部屋は男だったら衛兵部屋であるが、女だというので女官部屋の空き室だった。普段は使われていないとはいえ、それでも騎士団の宿舎よりも綺麗だった。そこで二人とも堅苦しい宮中用のドレスを脱ぎ捨て、普段着ている女騎士の夜の衣装に着替えていた。それは、火急な要件の時に出兵できるように準備しているものであったが、今のところそんな状況でもなかった。ただ、こんな時には役に立った。着替えはそれしか持っていなかったから。
「ねえカリン大丈夫なの?」
ローザはいつもの調子に戻っていた。騎士団のメンバー同士では騎士階級が優先し身分階級は関係しないというツーゼ伯の方針で、同期の二人はタメ口で構わないわけだ。
「まあ、衝撃を受けなかったといえばウソになるけど、結果としてよかったわ。これでケネス先生にお願いできるわ。本当に都合よかったわ、陛下のお墨付きをいただけたしね」
カリンの表情は疲れていたが嬉しそうだった。彼女の想い人はケネスだから。
「でも、騎士団長は許してくれるかな? それにケネス先生も・・・先生の方が問題よ! なんだって女の気配もないし、男が好きだという噂もあるし」
「そうね、でも騎士って本当に強い相手を結婚相手に選ぶでしょ! だから相手の事など何もわからなかった元婚約者よりも絶対いいわよ」
二人は騎士の夜の衣装に着替えた。それはそのまま甲冑を羽織ってもいいように比較的軽装だった。そして女性の場合は体形がはっきりしてしまう。二人とも騎士として鍛えられているので筋肉質な体つきだった。
「そうよね! やっぱり男は強くなければね。それにしても大丈夫なの? ケネス先生って鈍感だと思うよ」
ローザがそう言うとカリンはクスクス笑いだした。
6
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
【完結】結婚初夜。離縁されたらおしまいなのに、夫が来る前に寝落ちしてしまいました
Kei.S
恋愛
結婚で王宮から逃げ出すことに成功した第五王女のシーラ。もし離縁されたら腹違いのお姉様たちに虐げられる生活に逆戻り……な状況で、夫が来る前にうっかり寝落ちしてしまった結婚初夜のお話

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。

(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる