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17(ケネス視点 その3)
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ケネスが女に興味ないようにする理由はあった。それは生まれてからある時点まで奴隷だったためだ。現在は滅亡したがファマスティア王国の隣にはオストラス帝国という軍事独裁帝国があった。そこで奴隷軍人として両親から引き離されて、こき使われていた。
そのオストラス帝国は国力無視で周辺諸国と長年侵略戦争をしていたが、国力の疲弊と国民の大量離脱により最終的には帝室メンバーの粛清により滅亡してしまった。そのとき、戦う事しか知らなかったケネスを助けてくれたのがツーゼ伯だった。だからツーゼ伯は命の恩人だった。
そんなツーゼ伯の娘に騎士としての戦い方を教えるのは恩返しであったが、その娘を女として見てはならないと心に誓っていた。それに家庭というものを知らないケネスにとって所帯をもつという発想は欠如していた。その娘のカリンが女として挑発的な事をしているように思っていても遮断していた。
「そういえば、ツーゼ様たちは帰ってこないな。どうしたんだろう?」
ケネスが宿舎の炊事婦に尋ねた。彼女は「騎士団の情報拡散係」といわれるほど様々な情報を仕入れていたからだ。
「決まっているさ! 女騎士の・・・いや伯爵令嬢のカリンの婚約破棄に関する審議をしているそうだ。向こうに責任があるようだが、相手が望んだそうだ婚約破棄を。でも、一度陛下の裁可を受けた貴族同士の婚姻を破棄するには色々と面倒な手続きがいるそうよ。普通なら時間をかけそうだけど、なんかの都合で結論を早く出すそうだ。だから、徹夜になってもやるそうだ」
その時、ケネスは思い知らされた。いくら身近にいて部下のように訓練している女騎士は自分よりもはるかに身分が上の令嬢だったと。
そのオストラス帝国は国力無視で周辺諸国と長年侵略戦争をしていたが、国力の疲弊と国民の大量離脱により最終的には帝室メンバーの粛清により滅亡してしまった。そのとき、戦う事しか知らなかったケネスを助けてくれたのがツーゼ伯だった。だからツーゼ伯は命の恩人だった。
そんなツーゼ伯の娘に騎士としての戦い方を教えるのは恩返しであったが、その娘を女として見てはならないと心に誓っていた。それに家庭というものを知らないケネスにとって所帯をもつという発想は欠如していた。その娘のカリンが女として挑発的な事をしているように思っていても遮断していた。
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その時、ケネスは思い知らされた。いくら身近にいて部下のように訓練している女騎士は自分よりもはるかに身分が上の令嬢だったと。
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