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奪われる頭脳よみがえる悪夢
177・もう一人の愛梨(4)
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そのタオは愛梨にハッキングさせた先輩の大学院生だった。どこかミステリアスな長い黒髪の女でその瞳には魅了の力があると噂されるほど美しかった。タオが愛梨が全身拘束刑を受ける原因を作った張本人だった。
「はじめましょ! だって早くしないといけないのでしょ。もうすぐ始まるのでしょ!」
晴美はそういって愛梨の電脳に様々なケーブルなどを接続し始めた。このとき、愛梨(コピー)はタオのことを思い出して複雑な感情が生じていたが、電脳内に感情が閉じ込められていたので意思を表明することはなかった。しかし・・・
「電脳内のパルスが乱れているじゃないのよ! 愛梨ちゃんには悪いことをしたと思っているけど、それもこれも新たな人類創生のために必要なのよ。もし成功すれば愛梨ちゃんを自由にしてあげるから。もう少し辛抱してね」
そういってタオは愛梨の人工眼球内の網膜センサーに何らかの画像データを送り込んだ。するとパルスの乱れは落ち着いた。
「なにをされたのですか?」
「それはね、一時的に人間だったときの思い出をループさせているのよ。まあ、夢を見させてあげているってところかな?」
「夢ですか? 電脳も夢を見るのですか?」
「そうよ! 人間の夢だって記憶の混濁が生み出す擬似的な体験なのよ。違うといえば電脳化された人間の夢は外部出力が可能なことかな。愛梨ちゃんは・・・真由美って女の子の事を夢に見ているわね・・・でも、この娘は?」
タオは一瞬表情が固まったが、何かを察知したようであった。真由美の何かを知ったかのように。そしてタオは自分の椅子に座ると眼の前の立体モニターにエキゾチックブレインの構造画面が映し出された。
「愛梨の電脳との接続は完了いたしました。動力炉の稼働率は34%。50%を超えた時点で起動します、最初のプログラムですが、何を始めますか?」
感情のこもらない晴美の人工音声に対し、タオはこういった。
「手始めに愛梨ちゃんの人格を再現させて、仮想空間に!」
その言葉に晴美は少しひるんだような仕草をしたが、タオは無視した。
「はじめましょ! だって早くしないといけないのでしょ。もうすぐ始まるのでしょ!」
晴美はそういって愛梨の電脳に様々なケーブルなどを接続し始めた。このとき、愛梨(コピー)はタオのことを思い出して複雑な感情が生じていたが、電脳内に感情が閉じ込められていたので意思を表明することはなかった。しかし・・・
「電脳内のパルスが乱れているじゃないのよ! 愛梨ちゃんには悪いことをしたと思っているけど、それもこれも新たな人類創生のために必要なのよ。もし成功すれば愛梨ちゃんを自由にしてあげるから。もう少し辛抱してね」
そういってタオは愛梨の人工眼球内の網膜センサーに何らかの画像データを送り込んだ。するとパルスの乱れは落ち着いた。
「なにをされたのですか?」
「それはね、一時的に人間だったときの思い出をループさせているのよ。まあ、夢を見させてあげているってところかな?」
「夢ですか? 電脳も夢を見るのですか?」
「そうよ! 人間の夢だって記憶の混濁が生み出す擬似的な体験なのよ。違うといえば電脳化された人間の夢は外部出力が可能なことかな。愛梨ちゃんは・・・真由美って女の子の事を夢に見ているわね・・・でも、この娘は?」
タオは一瞬表情が固まったが、何かを察知したようであった。真由美の何かを知ったかのように。そしてタオは自分の椅子に座ると眼の前の立体モニターにエキゾチックブレインの構造画面が映し出された。
「愛梨の電脳との接続は完了いたしました。動力炉の稼働率は34%。50%を超えた時点で起動します、最初のプログラムですが、何を始めますか?」
感情のこもらない晴美の人工音声に対し、タオはこういった。
「手始めに愛梨ちゃんの人格を再現させて、仮想空間に!」
その言葉に晴美は少しひるんだような仕草をしたが、タオは無視した。
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