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奪われる頭脳よみがえる悪夢
176・もう一人の愛梨(3)
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愛梨に罪を擦り付けたのがガイノイド・アイリの背後にいた。それは完全にロボットであったが、畦地晴美の記憶を持つ機体であった。「生前」は互いに嫌っていたが、ただの機械になった二人、いや二体は組織のために稼働するだけの存在だった。いまここにいるアイリは「本人」ではなく、ただ記憶をコピーされただけの存在だった。それに本人との精神的なリンクが切断された現在はアップデートされることはなかった。
このとき、オリジナルの愛梨の記憶を完全にコピーしたわけではなく、稼働するうちにバグが出る危険はあった。それに魂というものはコピーできるというのは出来るのか誰にも分からなかった。
「もう少しで、あなたが使っている機体をもらうわ。その時は顔面だけは人間らしくしてもらうわ。なんだって私は功労者だから」
晴美はそういってアイリの機体を愛おしいと言わんばかりなぞっていた。晴美がなぜ肉体を失ったかの事情をアイリは把握できなかったが、自分はもうすぐ目の前の電脳システムのエキゾチックブレインに組み込まれるのはわかっていた。それを拒否することはできないことも理解していた。
「そうですね。あなたにお譲りします。私はシステムの一部になります」
アイリは抑揚にない合成音声で返した。アイリとしての能力を使っていても自我はほぼ封じられていた。おかげで偽物のアイリとバレる事は免れていた。
「そうよ、早くこんな量産品の機体とサヨナラしたいわ。その時は私は新人類の上級市民になるのよ!」
晴美はそういってアイリの頭部のエジェクトスイッチを押した。すると、アイリの頭部がパカッと開いて電脳が露出した。その電脳の内部は生体脳の痕跡が残っているので、元は人間だったことがわかるものだった。その周囲には様々な接続端子がついていた。その端子の一つに背後の装置から伸ばしてきたケーブルを接続した。その時、もう一人やってきた。
「もう始めちゃうの? 晴美ちゃん」
その女に晴美は「タオ様、もういいでしょ。そろそろ?」
このとき、オリジナルの愛梨の記憶を完全にコピーしたわけではなく、稼働するうちにバグが出る危険はあった。それに魂というものはコピーできるというのは出来るのか誰にも分からなかった。
「もう少しで、あなたが使っている機体をもらうわ。その時は顔面だけは人間らしくしてもらうわ。なんだって私は功労者だから」
晴美はそういってアイリの機体を愛おしいと言わんばかりなぞっていた。晴美がなぜ肉体を失ったかの事情をアイリは把握できなかったが、自分はもうすぐ目の前の電脳システムのエキゾチックブレインに組み込まれるのはわかっていた。それを拒否することはできないことも理解していた。
「そうですね。あなたにお譲りします。私はシステムの一部になります」
アイリは抑揚にない合成音声で返した。アイリとしての能力を使っていても自我はほぼ封じられていた。おかげで偽物のアイリとバレる事は免れていた。
「そうよ、早くこんな量産品の機体とサヨナラしたいわ。その時は私は新人類の上級市民になるのよ!」
晴美はそういってアイリの頭部のエジェクトスイッチを押した。すると、アイリの頭部がパカッと開いて電脳が露出した。その電脳の内部は生体脳の痕跡が残っているので、元は人間だったことがわかるものだった。その周囲には様々な接続端子がついていた。その端子の一つに背後の装置から伸ばしてきたケーブルを接続した。その時、もう一人やってきた。
「もう始めちゃうの? 晴美ちゃん」
その女に晴美は「タオ様、もういいでしょ。そろそろ?」
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