冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

文字の大きさ
上 下
182 / 198
奪われる頭脳よみがえる悪夢

161・アイリと淳司(1)

しおりを挟む
 犯罪学研究所の主人である丹下教授は戻ることはなかったと分かるのは少し先の事であった。残された膨大な資料は電子化され紙で出来たものは寄贈されるか廃棄されるかリサイクルされるかした。ただ”令和の虐殺者”のボディー全身拘束刑を受けた身体がどこに行ったかは定かでない。

 「すまないな、頭がクラクラする」

 クラウゼに殴られ無理やり仮想空間に接続されていた淳司は愛莉に支えながら研究所を出ていた。愛莉はガイノイド・エリーとして全身拘束刑の囚人として派遣されていたが、任務が終了したことになり、解放されていた。だから自由に行動ができるようになった。

 「大丈夫ですか?」

 「本当に、すまない。油断していたよあいつに! 今頃クラウゼの奴は掴んだ情報を国連機構に送っているだろうな。でも、よかったよ愛莉ちゃん、自由になれて。これからは制約なく行動できる。まだ、機械に身体は覆われたままだけど」

 愛莉は行動の制限はなくなったが、改造されたままなのでロボットの姿だった。これでは元に戻ったとは言えなかった。

 「どうして私が自由になったですか?」

 「それは、特別恩赦を受けたからさ。いま理工学部に派遣されているエリーの機体の持ち主の刑の執行が免除されたのさ。まあ、実際は彼女は別の義体で任務を遂行していたけどな。それと、愛莉ちゃんの冤罪だけど、あと三ヶ月待って」

 「三ヶ月! ちょっとかかりすぎよ! それに、いつ元の姿に戻れるのよ!」

 愛莉は不満を顔で表現したかったが、機械のままなので出来ないのがもどかしく悔しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田
SF
 何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。  過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。  どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。

昼は学生・夜はガイノイド

ジャン・幸田
SF
 昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?  女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!   彼女の想いの行方はいかなるものに?

機械娘として転移してしまった!

ジャン・幸田
SF
 わたしの名前、あれ忘れてしまった。覚えているのはワープ宇宙船に乗っていただけなのにワープの失敗で、身体がガイノイドになってしまったの!  それで、元の世界に戻りたいのに・・・地球に行く方法はないですか、そこのあなた! 聞いているのよ! 教えてちょうだい!

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ロボットウーマン改造刑を受けた少女

ジャン・幸田
SF
 AI搭載型ロボットが普及した未来、特に技能のない人間たちは窮地に陥っていた。最小限の生活は保障されているとはいえ、管理され不自由なデストピアと世界は化していた。  そんな社会で反体制活動に参加し不良のレッテルを貼られた希美は保安処分として「再教育プログラム」を受けさせられ、強制的にロボットと同じ姿に変えられてしまった! 当局以外にはロボット以外の何者でもないと認識されるようになった。  機械の中に埋め込まれてしまった希美は、ロボットウーマンに改造されてしまった!

処理中です...