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(閑話)全身拘束刑執行女のボヤキ
山崎技師のボヤキ(4)
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全身拘束刑を受けた愛莉の身代わりのエリーの機体は、元々生物を機械に改造してしまうナノマシーンに侵された女性の身体に他の様々なパーツを組み入れて偽造したものであった。その機体の持ち主が目の前に現れたので山崎技師は戸惑った表情を隠すことはなかった。
「あんたって・・・いま? ここに入ってこれないはずよ!」
「そうよ、ここにいないはずなのにというのでしょ! 」
目の前のエリーは見た目は20代の女性だが、内部はほぼサイボーグ義体だ。そんな人間は今どき珍しくはない事であるし、公式には全身拘束刑のはずだった。
「そんなの杠さんの元で働いているからよ!」
「首相?」
「いいえ、彼の正体は秘密の組織のボスよ! もうあなたも関わっているから話すけど、低支持率でボンクラという政治家は表の顔なのよ! 本当は危険な人物なのよ」
「でも、どうして冤罪で全身拘束刑が行われるのを見過ごしたわけなの? それで今ややこしい目に遭っているのよ、私は!」
「それは仕方ないのよ。ここがノーマークだったから。だからこれからは協力してもらうわよ」
「きょ、協力?」
「そう、協力よ。冤罪の被害を受けた少女を救う前に、手伝ってもらうわよ。本当のエリーの機体を回収するのを! そうそう、場合によっては破壊しても構わないから」
「破壊って・・・あんたの身体でしょあれは」
「あの身体は本当はどうでもいいのよ! あそこまで組み入れたらオリジナルは残っていないわよ。それよりも、”連中” 案件なのよ、これは」
「”連中”って、やばすぎない?」
「そうねえ、やばいわね。なんだってエキゾチックブレインの再起動をやるみたいよ。それを狙っていろんな組織が横取りしようとしているようだよ」
「マジで? そんな危ない話に協力しろというの?」
「してもらうわ、なんだってガイノイド・アイリに関わっているから。まあ、悪いようにはならないから。でも、今の職は辞めないといけないかもね」
「そんな・・・」
山崎技師はいつの間にか陰謀の渦に巻き込まれた事に愕然としていた。
「とりあえずわ、明日帝央大学理工学部に行くわよ。そうそう、明日は首相も行くそうだから覚悟してよ」
いたずらを企む少女のようにエリーは微笑んでいたが、それは山崎技師からすれば悪魔の微笑みに見えた。心の中で”なんで、こんな面倒に巻き込まれるのよ!” とぼやいていた。
「あんたって・・・いま? ここに入ってこれないはずよ!」
「そうよ、ここにいないはずなのにというのでしょ! 」
目の前のエリーは見た目は20代の女性だが、内部はほぼサイボーグ義体だ。そんな人間は今どき珍しくはない事であるし、公式には全身拘束刑のはずだった。
「そんなの杠さんの元で働いているからよ!」
「首相?」
「いいえ、彼の正体は秘密の組織のボスよ! もうあなたも関わっているから話すけど、低支持率でボンクラという政治家は表の顔なのよ! 本当は危険な人物なのよ」
「でも、どうして冤罪で全身拘束刑が行われるのを見過ごしたわけなの? それで今ややこしい目に遭っているのよ、私は!」
「それは仕方ないのよ。ここがノーマークだったから。だからこれからは協力してもらうわよ」
「きょ、協力?」
「そう、協力よ。冤罪の被害を受けた少女を救う前に、手伝ってもらうわよ。本当のエリーの機体を回収するのを! そうそう、場合によっては破壊しても構わないから」
「破壊って・・・あんたの身体でしょあれは」
「あの身体は本当はどうでもいいのよ! あそこまで組み入れたらオリジナルは残っていないわよ。それよりも、”連中” 案件なのよ、これは」
「”連中”って、やばすぎない?」
「そうねえ、やばいわね。なんだってエキゾチックブレインの再起動をやるみたいよ。それを狙っていろんな組織が横取りしようとしているようだよ」
「マジで? そんな危ない話に協力しろというの?」
「してもらうわ、なんだってガイノイド・アイリに関わっているから。まあ、悪いようにはならないから。でも、今の職は辞めないといけないかもね」
「そんな・・・」
山崎技師はいつの間にか陰謀の渦に巻き込まれた事に愕然としていた。
「とりあえずわ、明日帝央大学理工学部に行くわよ。そうそう、明日は首相も行くそうだから覚悟してよ」
いたずらを企む少女のようにエリーは微笑んでいたが、それは山崎技師からすれば悪魔の微笑みに見えた。心の中で”なんで、こんな面倒に巻き込まれるのよ!” とぼやいていた。
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