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(閑話)全身拘束刑執行女のボヤキ
山崎技師のボヤキ(1)
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愛莉を改造したのは柴田サクラ技師であったが、愛莉を人間に戻すように秘密裡に指示されたのは山崎恒美技師であった。それは柴田技師は”連中”の別働部隊である”闇の司法部”の一員であり、本来は有期刑であった全身拘束刑を勝手に死刑相当に愛莉をほぼ完全に改造してしまったためだ。
杠内閣の司法長官は”闇の司法部”の影響を受けていたが、愛莉の冤罪は全て預かり知らぬ事であり、杠首相も司法長官も事実を確認して絶句したという。事実を公表できるはずもないだと高を括るようなことをしたわけだ。そのあたりの経緯については明らかにされていない。しかし、尻ぬぐいをするように命ぜられたのが山崎技師であった。
「なんで、尻ぬぐいしないといけないのよ! あそこまで完全に機械になったら人間に可能な限り復元なんて無理よ!」
山崎技師はボヤキまくっていた。愛莉の改造程度はほぼ全身であったからだ。生体部分といえば、機械化する際に特に必要のないとして切除して冷凍保存された生殖器や泌尿器などの臓器の一部ぐらいであった。本当ならiPS細胞を培養して全身を再構成する方が技術的難度は優しいぐらいだ。でも、それは倫理的に問題があるし、費用だって用意された予算内で出来ないことだった。
「予算の範囲内だなんて・・・誰が内閣機密官房費の使用を認めてくれたの? ひょっとして隠蔽するためなの?」
山崎技師はその事実から、秘密裡の指示を出したのは杠首相か松林官房長官のどちらではないかと睨んでいた。でも、だからといって逆らう事は出来なかった。しかも、選挙管理内閣である杠内閣が総辞職するために目途を立てると指示であった。そんなの時間がないじゃないのよ! そう叫びたかった。
「とりあえず・・・体表は人間の生体組織を復元しないといけないわね。骨格も・・・造血細胞は再生しないといけないわ。生殖器も機能できるようにしないといけないし、食事で栄養を摂取するようにしてあげなくちゃね。それにしても、こんな研究があったなんてね」
そのときモニターに映っていたのは日本と麗華が秘密裡に開発していた技術であった。ナノマシーンによって機械生命体にされた人間を完全に元に戻すものであった。残念な事に麗華で起きたテロによって失われた部分も多かったが、残されたものでも愛莉を人間にしか見えないように戻すのは可能であった。その時、アラームがなった。それは対面通話希望のものだった。
「山崎技師! いったいどうなっているのよ! わたしがなんか悪い事でもしたというのよ! 何か密告でもしたの、あなた!」
それは柴田サクラからのものだった。彼女はまさに拘束される直前だった。
杠内閣の司法長官は”闇の司法部”の影響を受けていたが、愛莉の冤罪は全て預かり知らぬ事であり、杠首相も司法長官も事実を確認して絶句したという。事実を公表できるはずもないだと高を括るようなことをしたわけだ。そのあたりの経緯については明らかにされていない。しかし、尻ぬぐいをするように命ぜられたのが山崎技師であった。
「なんで、尻ぬぐいしないといけないのよ! あそこまで完全に機械になったら人間に可能な限り復元なんて無理よ!」
山崎技師はボヤキまくっていた。愛莉の改造程度はほぼ全身であったからだ。生体部分といえば、機械化する際に特に必要のないとして切除して冷凍保存された生殖器や泌尿器などの臓器の一部ぐらいであった。本当ならiPS細胞を培養して全身を再構成する方が技術的難度は優しいぐらいだ。でも、それは倫理的に問題があるし、費用だって用意された予算内で出来ないことだった。
「予算の範囲内だなんて・・・誰が内閣機密官房費の使用を認めてくれたの? ひょっとして隠蔽するためなの?」
山崎技師はその事実から、秘密裡の指示を出したのは杠首相か松林官房長官のどちらではないかと睨んでいた。でも、だからといって逆らう事は出来なかった。しかも、選挙管理内閣である杠内閣が総辞職するために目途を立てると指示であった。そんなの時間がないじゃないのよ! そう叫びたかった。
「とりあえず・・・体表は人間の生体組織を復元しないといけないわね。骨格も・・・造血細胞は再生しないといけないわ。生殖器も機能できるようにしないといけないし、食事で栄養を摂取するようにしてあげなくちゃね。それにしても、こんな研究があったなんてね」
そのときモニターに映っていたのは日本と麗華が秘密裡に開発していた技術であった。ナノマシーンによって機械生命体にされた人間を完全に元に戻すものであった。残念な事に麗華で起きたテロによって失われた部分も多かったが、残されたものでも愛莉を人間にしか見えないように戻すのは可能であった。その時、アラームがなった。それは対面通話希望のものだった。
「山崎技師! いったいどうなっているのよ! わたしがなんか悪い事でもしたというのよ! 何か密告でもしたの、あなた!」
それは柴田サクラからのものだった。彼女はまさに拘束される直前だった。
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