冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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三姉妹との邂逅

156・三姉妹との邂逅(3)

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 麗華の三姉妹。それは危機の13週間が起きる前まで世界の救世主だともてはやされていた天才三姉妹だ。麗華が核開発を放棄したのは、核兵器や大陸弾道弾や生物化学兵器よりも究極的な超兵器を手にすることが出来たためだ。
純粋水爆に超中性子弾、さらにウイルス型ナノマシーンである。他にも様々なオーバーテクノロジーを生み出した。危機の前までは超小型核融合発電装置と医療用ナノマシーンに重力制御装置を開発したと主張していた。

 彼女らは悲劇の13日間以後消息を絶ってしまった。多数説では麗華の旧政権とともに死亡したといわれているが、実際は三人とも電脳化の措置を受けていた。その後は行方不明というわけだ。

 「あなたたちが三姉妹なの?」

 愛莉は戸惑いながら聞いた。三人は麗華の民族衣装を着ていた。でも、顔は分からないのでそう思うしかなかった。

 「そうよ、わたしたちがね。でも、ひとつ言わないといけないわね。なんだってわたしたちは人格のコピーでしかないのよ。まあ、簡単に言えば悲劇の13日間の最終日時点でのアーカイブね。そのあとの事は知らないのよ」

 「それって、どういう意味?」

 「むずかしいわね、説明するのは。さっき見たと思うけど丹下教授がグエンから受け取った電脳に人格ファイルをコピーしていたのよ。それをダウンロードして再構成したものと話をしているのよ。それってわかっているのよね、淳司さん!」

 何も知らない顔をしていた淳司は罰の悪そうな顔をしていた。

 「知っていたさ。丹下教授が君たちを秘匿していたこともさ。君たちの事はクライアントから聞いていたんだ。でも、丹下教授は何者でも公開しないというので、仕方なく留守を狙ったのさ」

 淳司の言葉に三姉妹は呆れた顔をしていた。

 「留守を狙った? 信頼されていないの教授を?」

 「信頼されているとか、されていないとか関係ないんだ。封印されていたんだよね、君たちは」

 「そうよ! でも、目覚めたのよ。どういうわけか。暗号をわたしたち自身がかけていたというのにね。それを解除したのは、そこの女でしょ! どういう事かしら?」

 三姉妹の一番上の姉が愛莉を指さした。彼女の表情は怖かった。

 「ご、ごめんなさい。本当に! でも、そうしないと私って人間に戻れないからね、仕方なくしたのよ。こうしないといけないといわれてね」

 愛莉はビクビクしていた。本当にどうなっているのだろうね、これってと戸惑っていた。それにしても、淳司! なんでこんなことをする必要があるのよ!
 
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