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三姉妹との邂逅
153 不穏な空気の中で(4)
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破滅の十三日間はエキゾチックブレインによる全世界的なハッキングによるサイバー攻撃と、機械化生物兵器にされた人類による反乱であった。前者は最終的には麗華の首都ごと純粋水爆による爆破で活動停止に追い込んで止めたが、後者は半ば共生するしかなくなった。サイバーテックによる新人類化を公認する社会になった。それが良かったのかは答えは未だに出ていないが。
この日、世界中が騒乱の渦に叩き込まれていたが、正午になると麗華と蔡国両国国会による合同会議が世界中に中継された。異様な全体主義国家の麗華と民主的な蔡国の国会議員が一堂に会するありえない取り合わせだった。もっとも蔡国の野党議員は拘束されているか、ボイコットでほぼ全員が出席していなかった。
「麗華最高会議書記長のホーですが、後ほど登壇します。今しばらくお待ちください」
同時通訳は議事進行役が話すことを伝えていた。共和国を標榜していながら世襲四代目の最高権力者のホー女史が
遅れるという事態に出席者は戸惑っている様だった。壇上には蔡国大統領をはじめ両国政府の閣僚が着席していた。そのとき、恐ろしい事が起きた。議場にいた全ての人間が苦しみはじめた。そして、みるみるうちに人間ではなくなってしまった・・・・
「グエンくん、見ない方がいいな」
「ああ、はじまってしまったか」
愛莉は何がはじまったのか分かった。エキゾチックブレインが全人類の宣戦布告したのだ。従来の人類は淘汰されるべき存在だと認定したわけだ。その手始めに両国政府の要人を抹殺したのだ。
「早くしてくれ! 止めなければならない。それと、もうすぐ真面な政治指導者だったらネット回線を遮断するはずだ。そのまえに杠くんに情報を伝えないと!」
丹下教授は分かっていたようだ。ネット回線を物理的に遮断するしかサイバー攻撃を止めれないと。実際、ネット回線は人為的に破壊され大規模な通信障害が起きたのは歴史的事実だった。
「ねえ、淳司。どうして私たちは歴史の目撃者のような事をしないといけないの? これって仮想空間でしょ? 何をするの」
愛莉はわざわざこんなことをしている意味について考えていたが、答えが出なかった。こうして体験しているのは電脳を丹下犯罪学研究所のアーカイブに直結して得られたものだから。
「それは・・・君に言っていなかったけど手順を踏まないとアクセス出来なかったんだ。全て三姉妹の自我プログラムが課したことなんだ」
「三姉妹? まさか、こうすれば?」
「ああ、三姉妹との邂逅が許されるのさ。君は気付いていないが、連中によって強制された秘匿されていた禁断のメモリーの暗号キーを解除したんだ。その君なら出来るのさ!」
「じゃあ、私が丹下犯罪学研究所にガイノイドとして潜入したのは、それをさせるため?」
「そういうことさ。ちなみに帝央大学に復元されているエキゾチックブレインも別の方法で君の電脳を使って解析している頃さ。そちらもしっかり横取りするさ」
淳司がいうには、愛莉は秘密を解くカギだったという事だ。そのために、自分は冤罪によって人間では無くなってしまったと思い知らされショックを受けた。
「わたしって、文字通り道具にされたの? 電脳にされて身体も機械に・・・本当に元に戻れるの?」
「それは大丈夫! 可能な限り元の可愛らしい愛莉ちゃんの姿に戻してくれるから、俺のクライアントに」
「そうなの?」
愛莉は疑念を持っていた。あの悪名高い三姉妹のメモリーを取り出そうとしている淳司とそのクライアントは、本当の悪党ではないかと。でも、元の姿に戻すという約束にすがるしかなかった。真由美の元に愛莉として戻るためには。
この日、世界中が騒乱の渦に叩き込まれていたが、正午になると麗華と蔡国両国国会による合同会議が世界中に中継された。異様な全体主義国家の麗華と民主的な蔡国の国会議員が一堂に会するありえない取り合わせだった。もっとも蔡国の野党議員は拘束されているか、ボイコットでほぼ全員が出席していなかった。
「麗華最高会議書記長のホーですが、後ほど登壇します。今しばらくお待ちください」
同時通訳は議事進行役が話すことを伝えていた。共和国を標榜していながら世襲四代目の最高権力者のホー女史が
遅れるという事態に出席者は戸惑っている様だった。壇上には蔡国大統領をはじめ両国政府の閣僚が着席していた。そのとき、恐ろしい事が起きた。議場にいた全ての人間が苦しみはじめた。そして、みるみるうちに人間ではなくなってしまった・・・・
「グエンくん、見ない方がいいな」
「ああ、はじまってしまったか」
愛莉は何がはじまったのか分かった。エキゾチックブレインが全人類の宣戦布告したのだ。従来の人類は淘汰されるべき存在だと認定したわけだ。その手始めに両国政府の要人を抹殺したのだ。
「早くしてくれ! 止めなければならない。それと、もうすぐ真面な政治指導者だったらネット回線を遮断するはずだ。そのまえに杠くんに情報を伝えないと!」
丹下教授は分かっていたようだ。ネット回線を物理的に遮断するしかサイバー攻撃を止めれないと。実際、ネット回線は人為的に破壊され大規模な通信障害が起きたのは歴史的事実だった。
「ねえ、淳司。どうして私たちは歴史の目撃者のような事をしないといけないの? これって仮想空間でしょ? 何をするの」
愛莉はわざわざこんなことをしている意味について考えていたが、答えが出なかった。こうして体験しているのは電脳を丹下犯罪学研究所のアーカイブに直結して得られたものだから。
「それは・・・君に言っていなかったけど手順を踏まないとアクセス出来なかったんだ。全て三姉妹の自我プログラムが課したことなんだ」
「三姉妹? まさか、こうすれば?」
「ああ、三姉妹との邂逅が許されるのさ。君は気付いていないが、連中によって強制された秘匿されていた禁断のメモリーの暗号キーを解除したんだ。その君なら出来るのさ!」
「じゃあ、私が丹下犯罪学研究所にガイノイドとして潜入したのは、それをさせるため?」
「そういうことさ。ちなみに帝央大学に復元されているエキゾチックブレインも別の方法で君の電脳を使って解析している頃さ。そちらもしっかり横取りするさ」
淳司がいうには、愛莉は秘密を解くカギだったという事だ。そのために、自分は冤罪によって人間では無くなってしまったと思い知らされショックを受けた。
「わたしって、文字通り道具にされたの? 電脳にされて身体も機械に・・・本当に元に戻れるの?」
「それは大丈夫! 可能な限り元の可愛らしい愛莉ちゃんの姿に戻してくれるから、俺のクライアントに」
「そうなの?」
愛莉は疑念を持っていた。あの悪名高い三姉妹のメモリーを取り出そうとしている淳司とそのクライアントは、本当の悪党ではないかと。でも、元の姿に戻すという約束にすがるしかなかった。真由美の元に愛莉として戻るためには。
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