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三姉妹との邂逅
151 不穏な空気の中で(2)
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古めかしい壁にかけられた時計は10時の鐘を鳴らしていた。その日は悲劇の13日の初日で急速に悪化する情勢の序の口だった。そのあと、起きる事は愛莉もかすかに覚えている。その時間に授業中に大人に呼び出され、その教室には二度と戻らなかった事。両親を失い茫然自失であったが、大人たちはさらに混乱していたことを。そして起きたことは時系列の知識になっていた。自分のいた世界だというのに、あまりにも違いすぎていた。それにしても、何故淳司と一緒に追体験しなければいけないのだろうか?
丹下教授のデスクの複数のモニターには様々な情報が映し出されていたが、世界各国で機械化した人類の反乱がおきているのが映し出されていた。そう、悲劇の13日とは人類同士の戦争ではないのだ。従来の人類と機械に侵された新人類の戦いであった。結論から言えば、従来の人類は一部屈服した。共存しなければならなかったから・・・
「杠君、いよいよまずいようだ。麗華には直接入れないかもしれないな」
丹下教授は衛星電話で話をしていたが、その名前はどうも現在の首相みたいだ。でも、この時何をしているのだろうか、愛莉にはわからなかった。
「はい、教授。おそらくは・・・ハバロフスクかハルビンに着陸するみたいです。そこからは国連がチャーターする高速機動車で移動する計画ですが・・・なんとか、あの悪魔を止めなければいけない・・・」
そこで通信回線の状態が悪くなったためか、通信が途絶した。しばらく丹下教授はモニターを見ていると、ドアをノックして入ってくる男がいた。その男は労務者風で大きなバックを下げていた。
「グエンくん? 大丈夫だったか?」
その男はグエンというようで、名前からすると麗華か蔡国のいづれかの出身のようだった。
「大丈夫じゃありませんよ! これを持ち出すのに何度死にそうになったのか! サンプルをシャンハイで別送したので助かりましたが、さっき郵便局で受け取ってきましたが、もうちょっと遅ければ航空路が閉鎖になっていました」
そういってバックの中から出したのは小さな段ボールであった。それを開けると電動モーターがいくつも入っていたが、その中の一つをドライバーでこじ開けていた。その中から出てきたのは、愛莉にとってゾッとするものだった。
「はい、先生に頼まれていたものです。あの悪魔に接続されていた電脳です! その中に可能な限り奴の情報を入力してきました!」
それは、電脳にされてしまった人間の脳漿だった!
丹下教授のデスクの複数のモニターには様々な情報が映し出されていたが、世界各国で機械化した人類の反乱がおきているのが映し出されていた。そう、悲劇の13日とは人類同士の戦争ではないのだ。従来の人類と機械に侵された新人類の戦いであった。結論から言えば、従来の人類は一部屈服した。共存しなければならなかったから・・・
「杠君、いよいよまずいようだ。麗華には直接入れないかもしれないな」
丹下教授は衛星電話で話をしていたが、その名前はどうも現在の首相みたいだ。でも、この時何をしているのだろうか、愛莉にはわからなかった。
「はい、教授。おそらくは・・・ハバロフスクかハルビンに着陸するみたいです。そこからは国連がチャーターする高速機動車で移動する計画ですが・・・なんとか、あの悪魔を止めなければいけない・・・」
そこで通信回線の状態が悪くなったためか、通信が途絶した。しばらく丹下教授はモニターを見ていると、ドアをノックして入ってくる男がいた。その男は労務者風で大きなバックを下げていた。
「グエンくん? 大丈夫だったか?」
その男はグエンというようで、名前からすると麗華か蔡国のいづれかの出身のようだった。
「大丈夫じゃありませんよ! これを持ち出すのに何度死にそうになったのか! サンプルをシャンハイで別送したので助かりましたが、さっき郵便局で受け取ってきましたが、もうちょっと遅ければ航空路が閉鎖になっていました」
そういってバックの中から出したのは小さな段ボールであった。それを開けると電動モーターがいくつも入っていたが、その中の一つをドライバーでこじ開けていた。その中から出てきたのは、愛莉にとってゾッとするものだった。
「はい、先生に頼まれていたものです。あの悪魔に接続されていた電脳です! その中に可能な限り奴の情報を入力してきました!」
それは、電脳にされてしまった人間の脳漿だった!
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