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三姉妹との邂逅
149・研究所の朝(4)
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「悲劇の13日間」の前年に起きた米中露三か国による戦争は僅か半日で終結したが、それは軍事的バランスを破壊するものであった。2020年代に入り政治体制の違いに関係なく進行していた自国第一主義が決定的な対決に移行した。当初はサイバー空間でのバーチャルなサイバーテロの応酬であったが、遂に戦端が開かれてしまった。
だが不可解な事に三か国がほぼ同時にそれぞれの敵対国に超中性子弾搭載の超音速巡航ミサイルを発射したとされる。結果、核保有抑止力が瓦解してしまった。なぜなら、超中性子弾の爆発によって発生した猛烈な中性子により保有する核兵器の大部分が核分裂反応を起こし使用不能になった。具体的に言えば誘爆したわけである、核保有庫周辺の住民を巻き込んだうえで。その被害は明確になっていないが健康被害も含めると数千万人単位とされていた。
その超中性子弾を開発製造したのが麗華であるのが判明したのが「危機の13週間」の原因であった。また、同時に世界各国で蔓延しはじめた人体が有機機械に置き換えてしまうナノマシーンの原因も麗華であった。そのため、麗華は全世界から人類の敵とみなされていた。
「知っていると思うけど、このあと麗華の支配階層はほぼ全員行方不明になって、エキゾチックブレインが暴走するわけだ。人類は滅亡の淵に追いやられたわけだ」
淳司の説明は愛莉も知っていた。それは現代を生きる人々すべてが知っている事であるから。この後起きる事は社会科学系科目が弱点の愛莉も認識していた。自分の両親が犠牲になったから。ラジオは刻々と変化する情勢を伝えていたが、深刻さを増していた。
「ただいま速報として入ってきました。自衛隊のネットワークがハッキングされ・・・迎撃ミサイルが複数発射されたとのことです。くりかえしますが、迎撃ミサイルが発射され・・・どうやら」
その瞬間、愛莉の両親が乗っていた旅客機が撃墜され命を失った。その時、日本領空を飛行していた十数機の旅客機が撃墜され数千人の命が奪われた。麗華いやエキゾチックブレインにより。思わず愛莉は顔を膝にうずめてしまった。そして声を出さないように泣き出した。そのあとも、混乱したアナウンサーが次から次へと錯綜する情報をながしたが、この時世界は知る由もなかった。エキゾチックブレインが人類殲滅モードに移行していることに。
「愛莉ちゃん、泣かないで! これから知らないといけないことが起きるんだから」
淳司はなぐさめたが、ラジオの声はさらに怒気をあげていた。麗華に向けて出撃した自衛隊部隊が純粋水爆弾によって蒸発したと。エキゾチックブレインが人類に宣戦布告したのを知るまで、あと少しであった。
だが不可解な事に三か国がほぼ同時にそれぞれの敵対国に超中性子弾搭載の超音速巡航ミサイルを発射したとされる。結果、核保有抑止力が瓦解してしまった。なぜなら、超中性子弾の爆発によって発生した猛烈な中性子により保有する核兵器の大部分が核分裂反応を起こし使用不能になった。具体的に言えば誘爆したわけである、核保有庫周辺の住民を巻き込んだうえで。その被害は明確になっていないが健康被害も含めると数千万人単位とされていた。
その超中性子弾を開発製造したのが麗華であるのが判明したのが「危機の13週間」の原因であった。また、同時に世界各国で蔓延しはじめた人体が有機機械に置き換えてしまうナノマシーンの原因も麗華であった。そのため、麗華は全世界から人類の敵とみなされていた。
「知っていると思うけど、このあと麗華の支配階層はほぼ全員行方不明になって、エキゾチックブレインが暴走するわけだ。人類は滅亡の淵に追いやられたわけだ」
淳司の説明は愛莉も知っていた。それは現代を生きる人々すべてが知っている事であるから。この後起きる事は社会科学系科目が弱点の愛莉も認識していた。自分の両親が犠牲になったから。ラジオは刻々と変化する情勢を伝えていたが、深刻さを増していた。
「ただいま速報として入ってきました。自衛隊のネットワークがハッキングされ・・・迎撃ミサイルが複数発射されたとのことです。くりかえしますが、迎撃ミサイルが発射され・・・どうやら」
その瞬間、愛莉の両親が乗っていた旅客機が撃墜され命を失った。その時、日本領空を飛行していた十数機の旅客機が撃墜され数千人の命が奪われた。麗華いやエキゾチックブレインにより。思わず愛莉は顔を膝にうずめてしまった。そして声を出さないように泣き出した。そのあとも、混乱したアナウンサーが次から次へと錯綜する情報をながしたが、この時世界は知る由もなかった。エキゾチックブレインが人類殲滅モードに移行していることに。
「愛莉ちゃん、泣かないで! これから知らないといけないことが起きるんだから」
淳司はなぐさめたが、ラジオの声はさらに怒気をあげていた。麗華に向けて出撃した自衛隊部隊が純粋水爆弾によって蒸発したと。エキゾチックブレインが人類に宣戦布告したのを知るまで、あと少しであった。
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