冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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三姉妹との邂逅

137 デート?

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 ここは仮想現実空間だとすぐわかったが、ここに愛莉は違和感だらけだと思った。なぜ二十年前なのかと。

 「これってタイムスリップなの?」

 愛莉はクリスマスツリーに「2019」という文字が飾られていたのに気づいた。愛莉が生まれたのは翌年であったが、そのころの記憶はあるはずなかった。この頃はたぶん母のお腹のなかだったはずだから。

 「半分あっているが違う。ここは”偽りの”十三か月の平和”を生み出した連中に関する記録を元に構成された世界なんだ。だから見たりといった体験は出来ても変える事なんかは出来ない。ゲームで言えばシナリオを読むだけのものさ。だから人が殺されても助けることは出来ないし変えられない。変えても意味はないがね」

 淳司はそういって愛莉の肩に手を回した。

 「なにをするのですか?」

 愛莉はその感触に驚いていた。男の人にこんなふうにされるのは初めてだったから。

 「決まっているじゃないか、デートだ。ここでは怪しいと思われたら排除するプログラムがあるんだよ。だから自然とこうしなければね。だっておかしいだろ、男女がただブラブラするのも」

 淳司が言っている意味が分からないでもなかったが、特に反論する気はなかった。なんとなくそれでもいいと思ったからだ。

 「いいわよ! でも変なことしないでちょうだいよ! ここでは女子高生なんだから」

 そういったがなんで仮装現実空間では高校生なのかわからなかった。まあ全身拘束刑を受けて機械にされた姿よりはずっとましだったが。

 「はい、そうです。いやらしいことはしませんからご安心あれ、お嬢さん」

 二人のデートはこうしてはじまったが、それは惨劇の現場の目撃者になるためだった。
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