冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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三姉妹との邂逅

132・令和の虐殺魔(1)

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 クラウゼが見せてくれた新聞のスクラップの最初のページをみたことで、愛莉の電脳には「令和の虐殺魔事件」の情報が瞬時がインプットされた。その事件は簡潔にいえば次のようである。

 それは日本の前時代の令和時代といわれていた2020年代中頃に発生した。米中対立が激化し、さらには経済格差が絶望的に拡大するなど世界各地が混乱して時のことだ。自暴自棄になったある男が死刑になって死ぬことを望むようになっていた。個人的パーソナルに問題があったうえに、ある種の終末観が刺激したようであった。その男が「確実に死刑」になる方法として大量殺人を意図した。そのターゲットにされたのが丹下教授の家族が観覧する予定のコンサートであった。

 このコンサートの趣旨は犯罪被害者の救済で、被害者遺族のために必要であるとして死刑制度存置を主張していた丹下教授が発起人の一人だった。とある市民会館で開かれていたコンサート会場に乱入した男は、日本では入手できるはずのない軍用サブマシンガンを乱射したうえ、手榴弾を何発も使用した。その結果死者15人負傷者80人の大惨事になった。

 このとき、丹下教授の家族が真っ先に狙われ、妻と二人の娘は即死したとされている。また丹下教授も銃弾を受けたが命は助かった。当然、世間は犯人を許すわけはなく、死刑は当然であり早く確定させて執行せよという世論が大多数だった。当然、丹下教授もそう主張したが裁判で被告人になった男との対決で変わる出来事があった。

 「死刑になればいいんだろ? この偽善者が!」

 犯罪被害者遺族の一人として法廷に立った丹下教授に投げつけられた言葉だった。

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