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(閑話)パンドラの鍵
地下宮殿
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かつて「地上の楽園」と自称していた麗華の郊外に「共和国宮殿」の廃墟はあった。「共和国宮殿」は10万人が集う事が出来る巨大な広場と人工湖を中心部におき、その周囲に政府機関が白亜の庁舎が並んでいた。その中でも異彩を放っていたのが「政務評議会ビル」だ。その主は建国以来四代世襲であった。その四代目が「世界同時多発テロ」首謀者とされていた。
「ここだけは損傷をあんまり受けていないが、地下水の侵入は止まっていないな」
杠は地下宮殿にいた。そこは政務評議会ビル地下にある核シェルターを兼ねた巨大地下空間であった。麗華中心部が純粋水爆の猛火に包まれた時も破壊されなかった数少ない場所であった。その地下宮殿の最下層にある、皇帝の玉座のようなものがある部屋に入っていった。そこには蔡国首相のグフと中華副総理の鄭が待っていた。
「ようこそ、杠先生。なにもこんなことをしなくても良いじゃないですか?」
グフは駆け寄った。グフはマオと同じく杠配下の工作員だった。一連の大戦で麗華も蔡国も事実上政府が消滅したので、杠の指示によって臨時政府を組織させたのだ。もっとも、今では杠が最も権力をもっていなかったが。
「仕方あるまい、グフ君。今の私は組織の裏切り者で風前の灯さ。まあ、君たちには迷惑をかけないから。おそらく、組織も私がやろうとしているのを黙認しているはずさ」
杠たちは以前「連中」の配下にいた。そのときは所謂「ネットウヨ」などと呼ばれる排他的かつ自国第一主義を主張していたが、その全てが「連中」による人類分断工作であると知ってから、対立する組織で活動していたが、それも「連中」の別動隊であった。
「そうですね。あのエキゾチック・ブレインの中枢部の大部分はあそこから搬出されていますが、パンドラの鍵は残されたままだしな。四つの鍵が揃わなければ解錠できないが、少なくともこの二つは必要ですし」
マオがそういって手のひらを見せた。そして地下宮殿の玉座の柱にあるセンサーにかざした。続いて杠も手をかざしたうえで、その場にいた四ヶ国の首脳が手にしたカードキーを差し込んで、それぞれの認証番号を入力した。そして四人は防毒マスクを被った。すると玉座の後ろが開いた。そこにあったのは・・・無数の遺体だった。
その遺体は、かつての分断国家・麗華と蔡国の東西両国の政治の中枢部であった。危機の十三週間最後の日、世界各国から孤立した両国政府がここに召集されたが、議場で全員が神経ガスによって抹殺された後にそこに葬られたわけだ。なぜ、そこに放置したままかというと・・・
「早く引き揚げましょう杠先生。ここにいたらいつ融合活動が再開するか分かりません!」
グフは少しビクビクしていた。ここにある遺体は麗華の悪魔の発明品生体改造ナノマシーンに汚染されていた。もし活動が再開したら生体組織がある限り機械に融合させようとするはずだ。ここにある遺体は触れる事も動かすことも出来なかった。ナノマシーンは暴走していたのだ。そして悲劇は起き、全て破壊されたはずだった。
「そうだな。ここを通過できるのは我々しかいないはずだが・・・誰か侵入した形跡があるぞ、しかも機械化した人類のようだな。ここを無事に通れるはずはないから」
杠はこんな危険な場所にパンドラの鍵を隠したのは、何者かによって盗まれないようにするためだった。でも、「連中」にはそんなのは無意味だったといえた。なぜなら「連中」がナノマシーンによって人間を機械の身体に改造するのは常とう手段だった。ナノマシーンの影響を受けないように改造すればいいからだ。ちなみに純粋な機械であるロボットはここに入ったら融合してしまう。
「杠先生、あと5分で終わらせましょう! あいつらの動きを止めるのはそれが精一杯ですから。先生が隠したのですからすぐわかるでしょ!」
ここにパンドラの鍵ことエキゾチック・ブレインのオリジナル・コアを隠したのは杠だった。そこに向かうと、折り重なるようにように機械化人間の残骸が積み重なっていた。それを隠した箱を開けられるのは生身の人間しか出来ないシステムになっていた。ここは生身の人間が長時間滞在できず、滞在できる機械化人間は箱を開けれないわけだ。それを回避できるのは隠した本人の杠か亡くなった中華の前総統だけだ。
杠たちは機械化人間の骸を乗り越えて、大きなオルゴールみたいな箱に四人同時にカードキーを差し込んだ。すると解錠され蓋が開くと中にカーワックスの金属製の容器のようなものがあった。それがコアだった。
「グフ君覚えているだろ。この中に何があるのか? これが彼女さ!」
「はい先生! こんな姿にされたから復讐したのでしょうか?」
「復讐じゃないさ。新たな人類のデザイン構想を思いついただけさ。ここにいる限り彼女は安息だっただろうが、彼女にやってもらいたいことがあるから、だしてやろう」
杠は感慨に浸る間もなく急いで持参してきたバックに入れ、一行は急いで入口まで戻ると再び封印した。杠は待たせていたシオリの体内にそれを収納した。するとシオリはこんなことを言った。
「たったいま収納したのは随分古いタイプの人体由来の電脳ですわね。機動させるのですか?」
それを聞いた杠はニヤリといった。
「そいつが稼働するときは、人類は選ばないといけないのさ、未来を」
一行は地下宮殿の別の場所へと移動した。
「ここだけは損傷をあんまり受けていないが、地下水の侵入は止まっていないな」
杠は地下宮殿にいた。そこは政務評議会ビル地下にある核シェルターを兼ねた巨大地下空間であった。麗華中心部が純粋水爆の猛火に包まれた時も破壊されなかった数少ない場所であった。その地下宮殿の最下層にある、皇帝の玉座のようなものがある部屋に入っていった。そこには蔡国首相のグフと中華副総理の鄭が待っていた。
「ようこそ、杠先生。なにもこんなことをしなくても良いじゃないですか?」
グフは駆け寄った。グフはマオと同じく杠配下の工作員だった。一連の大戦で麗華も蔡国も事実上政府が消滅したので、杠の指示によって臨時政府を組織させたのだ。もっとも、今では杠が最も権力をもっていなかったが。
「仕方あるまい、グフ君。今の私は組織の裏切り者で風前の灯さ。まあ、君たちには迷惑をかけないから。おそらく、組織も私がやろうとしているのを黙認しているはずさ」
杠たちは以前「連中」の配下にいた。そのときは所謂「ネットウヨ」などと呼ばれる排他的かつ自国第一主義を主張していたが、その全てが「連中」による人類分断工作であると知ってから、対立する組織で活動していたが、それも「連中」の別動隊であった。
「そうですね。あのエキゾチック・ブレインの中枢部の大部分はあそこから搬出されていますが、パンドラの鍵は残されたままだしな。四つの鍵が揃わなければ解錠できないが、少なくともこの二つは必要ですし」
マオがそういって手のひらを見せた。そして地下宮殿の玉座の柱にあるセンサーにかざした。続いて杠も手をかざしたうえで、その場にいた四ヶ国の首脳が手にしたカードキーを差し込んで、それぞれの認証番号を入力した。そして四人は防毒マスクを被った。すると玉座の後ろが開いた。そこにあったのは・・・無数の遺体だった。
その遺体は、かつての分断国家・麗華と蔡国の東西両国の政治の中枢部であった。危機の十三週間最後の日、世界各国から孤立した両国政府がここに召集されたが、議場で全員が神経ガスによって抹殺された後にそこに葬られたわけだ。なぜ、そこに放置したままかというと・・・
「早く引き揚げましょう杠先生。ここにいたらいつ融合活動が再開するか分かりません!」
グフは少しビクビクしていた。ここにある遺体は麗華の悪魔の発明品生体改造ナノマシーンに汚染されていた。もし活動が再開したら生体組織がある限り機械に融合させようとするはずだ。ここにある遺体は触れる事も動かすことも出来なかった。ナノマシーンは暴走していたのだ。そして悲劇は起き、全て破壊されたはずだった。
「そうだな。ここを通過できるのは我々しかいないはずだが・・・誰か侵入した形跡があるぞ、しかも機械化した人類のようだな。ここを無事に通れるはずはないから」
杠はこんな危険な場所にパンドラの鍵を隠したのは、何者かによって盗まれないようにするためだった。でも、「連中」にはそんなのは無意味だったといえた。なぜなら「連中」がナノマシーンによって人間を機械の身体に改造するのは常とう手段だった。ナノマシーンの影響を受けないように改造すればいいからだ。ちなみに純粋な機械であるロボットはここに入ったら融合してしまう。
「杠先生、あと5分で終わらせましょう! あいつらの動きを止めるのはそれが精一杯ですから。先生が隠したのですからすぐわかるでしょ!」
ここにパンドラの鍵ことエキゾチック・ブレインのオリジナル・コアを隠したのは杠だった。そこに向かうと、折り重なるようにように機械化人間の残骸が積み重なっていた。それを隠した箱を開けられるのは生身の人間しか出来ないシステムになっていた。ここは生身の人間が長時間滞在できず、滞在できる機械化人間は箱を開けれないわけだ。それを回避できるのは隠した本人の杠か亡くなった中華の前総統だけだ。
杠たちは機械化人間の骸を乗り越えて、大きなオルゴールみたいな箱に四人同時にカードキーを差し込んだ。すると解錠され蓋が開くと中にカーワックスの金属製の容器のようなものがあった。それがコアだった。
「グフ君覚えているだろ。この中に何があるのか? これが彼女さ!」
「はい先生! こんな姿にされたから復讐したのでしょうか?」
「復讐じゃないさ。新たな人類のデザイン構想を思いついただけさ。ここにいる限り彼女は安息だっただろうが、彼女にやってもらいたいことがあるから、だしてやろう」
杠は感慨に浸る間もなく急いで持参してきたバックに入れ、一行は急いで入口まで戻ると再び封印した。杠は待たせていたシオリの体内にそれを収納した。するとシオリはこんなことを言った。
「たったいま収納したのは随分古いタイプの人体由来の電脳ですわね。機動させるのですか?」
それを聞いた杠はニヤリといった。
「そいつが稼働するときは、人類は選ばないといけないのさ、未来を」
一行は地下宮殿の別の場所へと移動した。
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