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迷宮魔道な場所へ
116・疑惑(1)
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ガイノイド・アイリは本物の山村愛莉の肉体を素体にしたものを模したダミーであったが、人体由来の機体であった。最近世界的に流行しているのが、人体の機械化措置によるサイバネチックであった。だから、不要になったパーツをかき集めたらそれっぽいモノが出来るわけだ。でも、そうやって誤魔化せるのはそう長くないだろうし、もしかすると「連中」にバレているかもしれないと愛梨は危惧していた。
「あなたはいいわね、元の身体で作ってもらった機体だからね。でもね電脳なのは変わらないから。それに、もうすぐあのお方の為に役立つことになるから、その機体は用済みだわ。そしたら私がもらうわ」
晴美はそういって案内しながらいった。ここは地上に天高くそびえる理工学部練の地下深くに広がる秘密の空間のようだ。そのせいか本体とのデータのやりとりに支障があるようだ。少し送受信にデータのバグがあった。
「この機体をあなたにあげろという訳なの?」
「そうよ、これからの社会はそうなるべきだわ。無尽蔵に資源など使えなくなるから」
愛莉には晴美が言う意味がわからなかった。ただ分かるのは電脳に自我があっても全てを統括する存在があることだ。自我はその存在にいつでも抑え込まれてしまうものだと。そして身も心、いや機体も電脳も全てが所有物でしかなかった。淳司が「連中」と呼ぶ存在に。
「ところでどうするのよ、これから?」
愛莉のコピー人格が質問した。今は愛莉は事態を傍観するしかなかった。こうしなければリアルタイムで起きている事が淳司にわからないから。それにしても淳司のクライアントはいかほどの力があるのだろうか? いくらなんでもこんな危険な橋を渡らせるのはおかしい事といえるのに。
「決まっているじゃないの! あなたの電脳を接続するのよ! そうすれば世界をあのお方が支配するお手伝いが出来るじゃないのよ‼ あなたは選ばれたのだからね。私は選ばれなかったから羨ましいわ!」
晴美はそういったが、彼女の人格は機械に支配されるように改変されていると愛梨は気づいていた。彼女は愛莉が「機械的」に暗号を解くのをひどく嫌っていたから。あんたなんか機械になってしまえばいいんだ、自分はそんな心のない存在にはなりたくないなんて罵倒していたから。
取りあえず愛莉は適当な受け答えをした。理由は分からないが、自我の抑制は機械の身体に順応させられているぐらいだった。そうでもなければこんな身体にされたと感じた瞬間、発狂しそうであった。
「あなたはいいわね、元の身体で作ってもらった機体だからね。でもね電脳なのは変わらないから。それに、もうすぐあのお方の為に役立つことになるから、その機体は用済みだわ。そしたら私がもらうわ」
晴美はそういって案内しながらいった。ここは地上に天高くそびえる理工学部練の地下深くに広がる秘密の空間のようだ。そのせいか本体とのデータのやりとりに支障があるようだ。少し送受信にデータのバグがあった。
「この機体をあなたにあげろという訳なの?」
「そうよ、これからの社会はそうなるべきだわ。無尽蔵に資源など使えなくなるから」
愛莉には晴美が言う意味がわからなかった。ただ分かるのは電脳に自我があっても全てを統括する存在があることだ。自我はその存在にいつでも抑え込まれてしまうものだと。そして身も心、いや機体も電脳も全てが所有物でしかなかった。淳司が「連中」と呼ぶ存在に。
「ところでどうするのよ、これから?」
愛莉のコピー人格が質問した。今は愛莉は事態を傍観するしかなかった。こうしなければリアルタイムで起きている事が淳司にわからないから。それにしても淳司のクライアントはいかほどの力があるのだろうか? いくらなんでもこんな危険な橋を渡らせるのはおかしい事といえるのに。
「決まっているじゃないの! あなたの電脳を接続するのよ! そうすれば世界をあのお方が支配するお手伝いが出来るじゃないのよ‼ あなたは選ばれたのだからね。私は選ばれなかったから羨ましいわ!」
晴美はそういったが、彼女の人格は機械に支配されるように改変されていると愛梨は気づいていた。彼女は愛莉が「機械的」に暗号を解くのをひどく嫌っていたから。あんたなんか機械になってしまえばいいんだ、自分はそんな心のない存在にはなりたくないなんて罵倒していたから。
取りあえず愛莉は適当な受け答えをした。理由は分からないが、自我の抑制は機械の身体に順応させられているぐらいだった。そうでもなければこんな身体にされたと感じた瞬間、発狂しそうであった。
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