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迷宮魔道な場所へ

113・迷宮魔道な場所へ(4)

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 ここ第502実験室に設置されたガイノイドブースは丹下犯罪学研究所に特設されたものよりも高性能なのは明らかだった。ガイノイド・アイリの電脳プログラムが再構築され山村愛莉の自我パーソナルが再構築されていった。このとき、本物の人間の脳細胞を使った電脳でなかったらバレる可能性があった。そのためのシステムに施されていたとはいえ、やはりガイノイド・エリーとシンクロしていなければこの時点でアウトになっていた。でも、それもこれもスパイデバイスのおかげで今のところは問題ないようだった。

 「山村さんにはいっていなかったけど、あなたほどの頭脳を持っていたら人間なんていう種族を脱して新たな新人類になるべきだったのよ。その第一歩として機械の身体になってもらったのよ」

 タオ先輩はそういいながら撫でまわすようにアイリのボディを愛撫していた。いくら柔らかい肉体は消失しているとはいえ、外骨格でこんなことをされるのはいい気持ちはしなかった。同じボディタッチをするのなら真由美とするほうがよかったと愛梨は思っていた。そういいたかったけど、この時のタオ先輩による愛莉の自我プログラムは途中だったので何も言う事はできなかった。

 そうしている間にも自我の再構成は進んでいたが、淳司が施したプログラムと大きな違いがあった。淳司の、ガイノイド・エリーに宿っている愛莉の自我は人間の少女だった時のものであったが、タオ先輩のはおそらく自分に都合のいいモノにしているようだった。機械の身体になったのを悦びと感じるのを優先していた。

 「さあ山村さん、いいえ愛莉。もうすぐ目覚めるのよ! 新人類の先駆者になるのよ。その第一歩として起動するのよ!」

 愛莉の本来の自我は電脳の別領域にインストールされ、新たな愛莉の、エキゾチック・ブレインの中枢になるはずの愛莉が誕生しようとしていた。
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