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迷宮魔道な場所へ
109・接吻
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メンテナンスブースのエリーの電脳の意識はアイリと融合していた。愛莉の精神は今は理工学部にいた。それはあたかも幽体離脱してダミーのアイリに憑依しているような感覚だった。でも、やらされているのは労働だった。他のロボットと同じように理工学部構内を清掃していた。
元々、全身拘束刑はロボットスーツによる懲役刑なので、受刑者の意志に関係なく働かされるものだ。軽微なものなら自由時間も与えられるようだが、愛莉は最高刑罰を受けているので全て奪われていた。身も心もなにもかも。だから機械奴隷なのだ。それでも、今は自我だけは存在していたが。
「それにしても、淳司の奴ったら私のファーストキスを・・・奪うなんて!」
愛莉は思い出して怒っていた。仮想現実からログアウトする瞬間に淳司に唇を奪われた。全寮制の女子高で生活してきた愛莉が男の人に抱きつかれた事もなかったというのに。
ガイノイド・アイリの姿から高校時代の姿に戻った愛莉は淳司に質問していた時の事だ。本当に事件が解決したら元の姿に戻れるかを聞いていた。しかし答えは結構悲観的なものであった。
「じゃあ、あたしって機械の身体が残るってことなの?」
愛莉は自分の胸に手を当てていた。その胸の膨らみは柔らかく弾力があった。でも愛莉の胸は永遠に失われたというのだ。
「そうだ。オリジナルの再現は無理なんだ。完全にするなら全身の組織をクローン培養で構築する必要なんだが、それでは数年かかるし、元通りに完全にならないんだ。聞いたことはないかな? セレブが死んだペットのクローンを作るサービスがあるんだが、完全に同じにならないのと一緒なんだ。それに年数がかかったら安養寺さんの元に帰りずらくなるだろ?」
たしかにそうだった。身体の再生を待っていたら真由美と再会するのも遅くなってしまう。今すぐにでも彼女の前に帰りたいというのに。それに再生を待っている間、ガイノイドのままでいなければならないだろうし。そんなのは嫌だった。
「そうですけど。それにしても機械の部分ってどれぐらいなんですか?」
淳司にそう聞くと、突然彼に抱きつかれてしまった。これって何なのよと戸惑っていると、唇まで奪われてしまった。
「なにを・・・するのですか?」
仮想現実の中の出来事とはいえ、認知している感覚はリアルであった。淳司の唇の温もり、肩を掴まれている感覚、淳司の整髪剤の匂い、そして自分の心の動揺。全てはあたかも高校生の愛莉が感じているものであった。
「いま、こうやってキスしているが、機械の身体でも同じように感じる事は出来るのさ。君の身体の内部構造は大きく変えられないんだ残念だけど。でもな、こうやってキスやエッチなことが出来る程度までは戻してあげられるさ。少しセクサロイドみたいになるかもしれないがね、愛莉ちゃん」
セクサロイド! その言葉を聞いて愛莉は頭に血が昇った。いくらウブな愛莉でもそれがなんなのかは分かったからだ。
「ちょっとまってよ! あたしって処女なのよ! それなのになんてことを言うのよ! 恥ずかしいしイヤラシイわよ!」
そういったら淳司の手は愛莉のお尻を触っていた。これはセクハラ! と更に怒ったけど淳司はチャラチャラした表情だった。
「いま、少し興奮しているだろ、君は。そんな風に感じたり想ったりできる身体には戻れるようになるから、問題ないさ。だから、この事件の解決に協力してくれ!」
その言葉に対し愛莉はなんで身体を触るのよ、変態! って抗議しようとしたところで、仮想現実をログアウトされ、そのまま意識を失ってしまった。目を覚ましたのはガイノイド・エリーの身体になっていた。元の固い殻に覆われた機械の身体に。
元々、全身拘束刑はロボットスーツによる懲役刑なので、受刑者の意志に関係なく働かされるものだ。軽微なものなら自由時間も与えられるようだが、愛莉は最高刑罰を受けているので全て奪われていた。身も心もなにもかも。だから機械奴隷なのだ。それでも、今は自我だけは存在していたが。
「それにしても、淳司の奴ったら私のファーストキスを・・・奪うなんて!」
愛莉は思い出して怒っていた。仮想現実からログアウトする瞬間に淳司に唇を奪われた。全寮制の女子高で生活してきた愛莉が男の人に抱きつかれた事もなかったというのに。
ガイノイド・アイリの姿から高校時代の姿に戻った愛莉は淳司に質問していた時の事だ。本当に事件が解決したら元の姿に戻れるかを聞いていた。しかし答えは結構悲観的なものであった。
「じゃあ、あたしって機械の身体が残るってことなの?」
愛莉は自分の胸に手を当てていた。その胸の膨らみは柔らかく弾力があった。でも愛莉の胸は永遠に失われたというのだ。
「そうだ。オリジナルの再現は無理なんだ。完全にするなら全身の組織をクローン培養で構築する必要なんだが、それでは数年かかるし、元通りに完全にならないんだ。聞いたことはないかな? セレブが死んだペットのクローンを作るサービスがあるんだが、完全に同じにならないのと一緒なんだ。それに年数がかかったら安養寺さんの元に帰りずらくなるだろ?」
たしかにそうだった。身体の再生を待っていたら真由美と再会するのも遅くなってしまう。今すぐにでも彼女の前に帰りたいというのに。それに再生を待っている間、ガイノイドのままでいなければならないだろうし。そんなのは嫌だった。
「そうですけど。それにしても機械の部分ってどれぐらいなんですか?」
淳司にそう聞くと、突然彼に抱きつかれてしまった。これって何なのよと戸惑っていると、唇まで奪われてしまった。
「なにを・・・するのですか?」
仮想現実の中の出来事とはいえ、認知している感覚はリアルであった。淳司の唇の温もり、肩を掴まれている感覚、淳司の整髪剤の匂い、そして自分の心の動揺。全てはあたかも高校生の愛莉が感じているものであった。
「いま、こうやってキスしているが、機械の身体でも同じように感じる事は出来るのさ。君の身体の内部構造は大きく変えられないんだ残念だけど。でもな、こうやってキスやエッチなことが出来る程度までは戻してあげられるさ。少しセクサロイドみたいになるかもしれないがね、愛莉ちゃん」
セクサロイド! その言葉を聞いて愛莉は頭に血が昇った。いくらウブな愛莉でもそれがなんなのかは分かったからだ。
「ちょっとまってよ! あたしって処女なのよ! それなのになんてことを言うのよ! 恥ずかしいしイヤラシイわよ!」
そういったら淳司の手は愛莉のお尻を触っていた。これはセクハラ! と更に怒ったけど淳司はチャラチャラした表情だった。
「いま、少し興奮しているだろ、君は。そんな風に感じたり想ったりできる身体には戻れるようになるから、問題ないさ。だから、この事件の解決に協力してくれ!」
その言葉に対し愛莉はなんで身体を触るのよ、変態! って抗議しようとしたところで、仮想現実をログアウトされ、そのまま意識を失ってしまった。目を覚ましたのはガイノイド・エリーの身体になっていた。元の固い殻に覆われた機械の身体に。
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