117 / 198
迷宮魔道な場所へ
108・メンテナンスブースのエリー(5)
しおりを挟む
淳司は愛莉の脳漿を加工して誕生した電脳に見入っていた。人間の脳の電脳化は、脳組織にナノマシーンを挿入する端子を挿入して、外部との接続が出来るように改造するものだ。そうすることで、外部とのコンタクトが可能担うが、一方で副作用があった。精神に負担がかかることで変調をきたすのだ。特に全身も機械化される場合には影響は測りしえないのだ。だから死刑相当の全身拘束刑の受刑者は自我を可能な限り無くす措置が取られる場合が多かった。愛莉が完全に一度はガイノイドに生まれ変わったのもそれが理由の一つだった。
「にしても淳司。そのガイノイドって、この作戦が終わったら可能な限り人間に復元するんだろ? 結構、金がかかるんだろ。誰が出すんだよ?」
「それか? 正直知らねえなあ。まあ、外観復元だけでも新型ガイノイドを数体買えるぐらいはいるだろう。でもクライアントの仕事だから口をはさむことはないだろ」
「それもそうだな。それにしたって全身拘束刑でも、そこまで機械化されるのは酷いな。せいぜい、脱げないように外骨格を装着させて電脳化するぐらいだろ、フツーは! やっぱり、連中の意志かよそれは?」
作業が一段落したエルンストはバイザーを外して淳司と同じようにアイリの電脳をのぞき込んでいた。アイリの電脳は接続されたまま頭部から引き出されていた。電脳を覆う保護膜の中には愛莉の脳組織のなれの果てがあった。
「そのようだな。エキゾチック・ブレインにすぐにでも接続できるようになっている。だぶん、連中は何度か試験しているようだからな、いままで。まあ、起動に失敗しているようだが、次にこの電脳を接続したら、おそらく・・・地獄が始まるだろう」
このとき、淳司の脳裏に恐ろしい考えがあった。万が一の時には目の前にある電脳を「連中」の手中に堕ちるまえに破壊しなければならないと。あの時と同じように。でもそれは山村愛莉の完全な殺害を意味していた。そんなことにならないようにやっていくしかなかった。
「にしても淳司。そのガイノイドって、この作戦が終わったら可能な限り人間に復元するんだろ? 結構、金がかかるんだろ。誰が出すんだよ?」
「それか? 正直知らねえなあ。まあ、外観復元だけでも新型ガイノイドを数体買えるぐらいはいるだろう。でもクライアントの仕事だから口をはさむことはないだろ」
「それもそうだな。それにしたって全身拘束刑でも、そこまで機械化されるのは酷いな。せいぜい、脱げないように外骨格を装着させて電脳化するぐらいだろ、フツーは! やっぱり、連中の意志かよそれは?」
作業が一段落したエルンストはバイザーを外して淳司と同じようにアイリの電脳をのぞき込んでいた。アイリの電脳は接続されたまま頭部から引き出されていた。電脳を覆う保護膜の中には愛莉の脳組織のなれの果てがあった。
「そのようだな。エキゾチック・ブレインにすぐにでも接続できるようになっている。だぶん、連中は何度か試験しているようだからな、いままで。まあ、起動に失敗しているようだが、次にこの電脳を接続したら、おそらく・・・地獄が始まるだろう」
このとき、淳司の脳裏に恐ろしい考えがあった。万が一の時には目の前にある電脳を「連中」の手中に堕ちるまえに破壊しなければならないと。あの時と同じように。でもそれは山村愛莉の完全な殺害を意味していた。そんなことにならないようにやっていくしかなかった。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

昼は学生・夜はガイノイド
ジャン・幸田
SF
昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?
女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!
彼女の想いの行方はいかなるものに?

機械娘として転移してしまった!
ジャン・幸田
SF
わたしの名前、あれ忘れてしまった。覚えているのはワープ宇宙船に乗っていただけなのにワープの失敗で、身体がガイノイドになってしまったの!
それで、元の世界に戻りたいのに・・・地球に行く方法はないですか、そこのあなた! 聞いているのよ! 教えてちょうだい!

AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱
ジャン・幸田
SF
何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。
過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。
どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。

機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!
ジャン・幸田
ファンタジー
派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!
遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!
その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。
*小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる