冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

100・ガイノイド・アイリ(7)

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 全身拘束刑の受刑者をロボットのようにして社会で働かして被害者救済の費用に充てる。そして刑務所の維持管理費を削減する。それがこの刑罰が導入された理由の一つだった。だから、全身拘束刑受刑者の外骨格や内部構造を国家、司法省行刑局に無断で改造するなんて本当は違法なはずだった。まあ、国家機密漏えい罪の最高刑罰を適用してほぼ機械にしてしまうなんてことをする連中からすれば、そんなことは大したことではないかもしれなかった。

 「淳司、仮想空間ここでわざわざ私にアイリの姿にしたんだから、これって何かを説明してくれるってことよね? そろそろ、教えてくれない? なぜダミーのアイリを作って潜入させたのかを?」

 そういって愛梨は、淳司の肩をさすった。その手に感じるのは数値化された触感であったが、最初から比べたら慣れたとはいえ違和感があった。本当に生まれた時から機械ではなかったのかと思うぐらいだ。もっとも愛莉はありとあらゆる事象が起きるのを数字として瞬時に理解できるほど知能が高かったので似たようなモノではあったが。

 アイリの動きに合わせるかのように淳司は動き出した。すると手にはいつの間にかスケッチブックを持っていた。それを開くと簡単な相関図が書かれていた。

 「それって?」

 愛莉はその相関図が何故か読めなかった。汚いドイツ語らしい筆記体で書かれていたからだ。

 「これかい? これはさる筋から入手したエキゾチック・ブレインを復活させようとしている連中の組織図だ。暗号で書かれているそうだ」


 それが、暗号? 隠さないといけない情報なら確かにバレないようにしているのは当然だが、ここまで汚い文字である必要があるのかと思うほど、酷いと愛梨は思っていた。
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