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迷宮魔道な場所へ
85・巻き込みたくない(2)
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愛莉は真由美という娘は一度言い出したことを曲げない事があることを充分知っていた。しかもそれが自分の事だからもどかしかった。本当なら、その場で正体をばらして自分があなたのお姉ちゃんよ! そうカミングアウトしたかった。でも、ここは理工学部。既に監視下に置かれているのは間違いない。そうなれば、ガイノイドの備品として壊れてしまったなどと理由をつけて拘束すればいいことだから。
「それはなりません。与えられた電子許可証では決められた門限までに外に出ないといけませんわ! 今は午後4時35分です、門限まで三十分切っておりますわ」
この時、二人がいたのは地下空間にある大規模工作実験棟から核融合研究をしている北棟に向かう途中にある女子トイレだった。ここは理工学部のほぼ中央にあるので、そこからエントランスに行くだけでもギリギリに思えた。
「そうよねえ、だからねえエリーちょっとだけ、お姉ちゃんが最後にいたという陽子電算機研究所の近くにいけないかしら? お姉ちゃんがいたところを見たいのよ!」
そういって真由美はエリーの右腕の外骨格を揺さぶった。その外骨格の下にあるはずの肉体はもう存在していなかった。エリーを構成する機体に改造された時、愛莉の肉体はナノマシーンなどにより、有機化合物から構成された人造筋肉に変えられていた。当然皮膚なんてものは変質していた。だから外骨格を取り外しても、おぞましい機械の構造物しか見えない。それを想うと愛梨は悲しかった。真由美の知っている愛莉なんていなくなっているのだから!
「そうですか・・・問題ありますわよ。丹下教授にも迷惑をおかけすることになりますわ」
愛莉は本当にいきたくなかった。いまあそこに行けば不測の事態が起きてもおかしくないから。
「それはなりません。与えられた電子許可証では決められた門限までに外に出ないといけませんわ! 今は午後4時35分です、門限まで三十分切っておりますわ」
この時、二人がいたのは地下空間にある大規模工作実験棟から核融合研究をしている北棟に向かう途中にある女子トイレだった。ここは理工学部のほぼ中央にあるので、そこからエントランスに行くだけでもギリギリに思えた。
「そうよねえ、だからねえエリーちょっとだけ、お姉ちゃんが最後にいたという陽子電算機研究所の近くにいけないかしら? お姉ちゃんがいたところを見たいのよ!」
そういって真由美はエリーの右腕の外骨格を揺さぶった。その外骨格の下にあるはずの肉体はもう存在していなかった。エリーを構成する機体に改造された時、愛莉の肉体はナノマシーンなどにより、有機化合物から構成された人造筋肉に変えられていた。当然皮膚なんてものは変質していた。だから外骨格を取り外しても、おぞましい機械の構造物しか見えない。それを想うと愛梨は悲しかった。真由美の知っている愛莉なんていなくなっているのだから!
「そうですか・・・問題ありますわよ。丹下教授にも迷惑をおかけすることになりますわ」
愛莉は本当にいきたくなかった。いまあそこに行けば不測の事態が起きてもおかしくないから。
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