冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

74・不可解な回答

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 真由美の質問に操の表情は空を追っかけているかのようにキョロキョロしているようだった。そのとき何かどこかに指示を求めているような素振りだった。この理工学部の面々が悪魔のエキゾチック・ブレイン復活に関わっているのは間違いなかった。そして多くの政治家も絡んでいるようで、捜査機関も下手に手出しができないのは容易に想像できた。そして目的は? それは分からなかった。

 愛莉はここにエリーを送り込むのは「カモがネギをしょってやってくる」というしかない危険な行動だと危惧していた。アイリがダミーであるのがバレるのは時間の問題だと思えたからだ。おそらく、目の前にいるアイリは電脳を摘出するために破棄されるだろう。


 「アイリって名前だけど、それはねえ、安養寺さん? 魔法少女セイント・ピュアってご存知ですか?」

 操が口にした言葉に、真由美だけでなく愛莉もあっけにとられた。真由美は「はあ?」と短く相槌をうった。

 「ご存じないかもしれないですわね。二十一世紀初頭のアニメですから、あなたが生まれるずっと前でしょうね。そのアニメのファンの板倉教授が考えたのですよ。アイリというのは、その作品のキャラクターの一人なのと。他にも理工学部に所属しているガイノイドの名前も同様につけているのですよ」

 その回答に真由美はそれ以上なにも質問しなかった。いくら答えてくれても興味もないアニメ作品を言われても、想像力は働かなかった。でも愛莉は違っていた。それはウソだと。

 愛莉は自分の父の事を思い出していた。なにかのときに昔やっていたという懐かしいアニメとしてこの作品を見ていたことがあった。その中の登場人物の変身前の名前は花の名前で変身後は宝石の名前だった。だからアイリは当てはまらないのだ。こんな、おかしな言い逃れをするのはやっぱり操は誰かの指示を仰いでいて、子供だましな回答をしたようだ。結果、真由美ははぐらかされたわけだ。

 そして板倉教授ではないといえた。彼の趣味は二十世紀末のコンピューターゲームで、魔法少女のようなアニメに興味はないどはっきり断言していたから。

 「ねえ、エリー。あのガイノイドって、あなたに似ているけどどう思う?」

 「そうですねえ、仲間ですわ。人類に奉仕するための存在ですわ」

 真由美に聞かれ愛莉はエリーとして答えたが、はやく人類側に戻りたいと切に願っていた。
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