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(閑話)真由美の放課後
はぐらかされて
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このとき杠という男の本性を真由美は知ることはなかった。そんなことよりも今は早く愛莉の現状を知りたかったのだ。
「杠さん、愛莉さんは現在どこにいるのですか?」
真由美は気がかりだったのは愛莉が安全なところにいるのかということだった。全身拘束刑に処せられた者の処遇は場合によっては過酷な場合があるからだ。全身拘束刑はかつての死刑囚のように、この国では圧倒的多数が男性であり、たとえば時代遅れになった核分裂型原子炉の解体作業や深海底における鉱産資源の採掘、または宇宙開発など機械ですら困難な環境に置かれることが多いとされていたからだ。
「それはな、今は言えない。簡単に言えば匿ってもらっているんだよ。政府をダマして全身拘束刑で機械に愛莉さんを改造してしまう連中からな。取りあえずは、今は彼女の冤罪を晴らせるように工作している最中なんだ。順調にいけば数か月以内にあなたの元に戻ってこれるはずだ。戻ってきたら、あなたと愛莉さんと二人で旅行に行けるように手はずしてあげるから」
その時、真由美は愛莉は陥れられたというのが分かった。そして順調にいけば戻ってきてくれると聞いて少し嬉しくなった。でもそれは何ら裏付けのないカラ手形みたいなものと気付いていなかった。そもそも首相が工作するなんて話は少し荒唐無稽であった。この国の支配者層の一人がやる行動ではなかった。しかし、真由美は愛莉が生きていて戻ってくることを聞かされ気分が高揚していた。
「それは嬉しいわ! では、私に何か手伝うことございませんか?」
真由美は車椅子から身を乗り出して転びそうになっていた。すると杠はこんなことをいった。
「明日、とりあえずあなたは理工学部に見学に行きなさい。丹下犯罪学研究所に所属しているガイノイドと一緒にね。そのとき、愛莉さんがいたところを見て回ってください。そして、車椅子にこれを装着してもらいたいのだ。それだけでいいからね、とりあえず」
そういって渡されたのは小さなステッカーみたいなものだった。それは昔からある様な観光地で売っているみたいなものだった。
「こ、これを?」
「とりあえずな、車椅子のここに貼ってもらうぞ。ちょっと失礼するよ」
そういって杠は車椅子の左側の車輪のカバーに貼ってしまった。
「これは?」
「簡単な記憶装置だ。何が起きたのかを記録するのさ」
「なにを?」
「まあ、説明したら学校の授業三コマ分ぐらいかかる話さ! あんまりおもしろくないから聞かなくてもいいんだ。ただ見学してもらえたら充分なんだから」
結局、真由美の質問に杠は答えずはぐらかしてしまった。ただ、何かの諜報活動の手先にされたのではないかという疑念を抱いたが、相手が首相なのだからと思うと、考えるのをやめてしまった。
「杠さん、愛莉さんは現在どこにいるのですか?」
真由美は気がかりだったのは愛莉が安全なところにいるのかということだった。全身拘束刑に処せられた者の処遇は場合によっては過酷な場合があるからだ。全身拘束刑はかつての死刑囚のように、この国では圧倒的多数が男性であり、たとえば時代遅れになった核分裂型原子炉の解体作業や深海底における鉱産資源の採掘、または宇宙開発など機械ですら困難な環境に置かれることが多いとされていたからだ。
「それはな、今は言えない。簡単に言えば匿ってもらっているんだよ。政府をダマして全身拘束刑で機械に愛莉さんを改造してしまう連中からな。取りあえずは、今は彼女の冤罪を晴らせるように工作している最中なんだ。順調にいけば数か月以内にあなたの元に戻ってこれるはずだ。戻ってきたら、あなたと愛莉さんと二人で旅行に行けるように手はずしてあげるから」
その時、真由美は愛莉は陥れられたというのが分かった。そして順調にいけば戻ってきてくれると聞いて少し嬉しくなった。でもそれは何ら裏付けのないカラ手形みたいなものと気付いていなかった。そもそも首相が工作するなんて話は少し荒唐無稽であった。この国の支配者層の一人がやる行動ではなかった。しかし、真由美は愛莉が生きていて戻ってくることを聞かされ気分が高揚していた。
「それは嬉しいわ! では、私に何か手伝うことございませんか?」
真由美は車椅子から身を乗り出して転びそうになっていた。すると杠はこんなことをいった。
「明日、とりあえずあなたは理工学部に見学に行きなさい。丹下犯罪学研究所に所属しているガイノイドと一緒にね。そのとき、愛莉さんがいたところを見て回ってください。そして、車椅子にこれを装着してもらいたいのだ。それだけでいいからね、とりあえず」
そういって渡されたのは小さなステッカーみたいなものだった。それは昔からある様な観光地で売っているみたいなものだった。
「こ、これを?」
「とりあえずな、車椅子のここに貼ってもらうぞ。ちょっと失礼するよ」
そういって杠は車椅子の左側の車輪のカバーに貼ってしまった。
「これは?」
「簡単な記憶装置だ。何が起きたのかを記録するのさ」
「なにを?」
「まあ、説明したら学校の授業三コマ分ぐらいかかる話さ! あんまりおもしろくないから聞かなくてもいいんだ。ただ見学してもらえたら充分なんだから」
結局、真由美の質問に杠は答えずはぐらかしてしまった。ただ、何かの諜報活動の手先にされたのではないかという疑念を抱いたが、相手が首相なのだからと思うと、考えるのをやめてしまった。
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