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エリーは探偵として推理する
69・固められた身体
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愛莉は少し嬉しくなった、しかし身体を自由に動かせるといってもその身体は変わり果てていた、機械の身体に。こんな固められた身体を自由に動かせたとしても、本当に自由ではなかった、囚人扱いのままだし、人間に戻れるわけではないから。
仮想空間や想い出の中にある山村愛莉に戻っていなかった。まだガイノイドのエリーだ。こんな姿じゃ真由美の前でいるのも嫌だった。そのとき、車椅子の車輪の回転音がした。
「長崎先生、なにされているのですか? あれまあ、エリーと一緒ですか? 丁度良かったわ」
真由美の声に愛莉はおもわず身体を動かしてしまいそうだった。どうやら身体の自由を獲得したようだったが
、今は我慢するしかなかった。
「安養寺君、どうしたんだ? いま、エリーのボディに汚れがついていたから、拭っていたんだ」
淳司はダウンロード完了したことを確認してから首筋からメディアを引き抜いた。そしてハンカチで拭って誤魔化そうとしたわけだ。真由美はその動作に特段気にすることなく話を続けた。
「そうですが、午後から理工学部に見学しに行くのですが、許可証はこれでいいですよね? 」
そういって真由美は持っている端末で電子許可証を表示していた。
「ああ、そういえばエリーにも許可証が要ったよね。その中に入っていないようだな」
淳司は確認すると、急いでどこかにメールを打つと、その電子許可証が変更された。
「危なかったな! これでエリーも介助者として入れるから。エリーはゲートで電子鍵コードをかざすように」
この時、愛莉はエリーの統括システムが受け取ったのを確認した、その電子鍵コードがロボット用なのが少し悲しかった。
「かしこまりました、長崎先生。予定通りに安養寺真由美さんと同行します」
エリーの人工音声システムがそう応答した。どうも、まだ音声までは自由になるようになっていないようだ。
「お世話になるわ、エリー」
そういうと真由美はエリーのボディーに触れた、その感覚をエリーの感覚システムを介して愛莉は感じていた。彼女の柔らかな手の温もりを! それを感じる愛莉のボディは固められているのを知らせる事は出来なかった。
「ありがとうございます真由美さん。なにか山村愛莉さんの手がかりがあればいいですね」
愛莉はまだ自分の事を言えないことがもどかしかった。でもエリーの動作システムを自由に出来るようになったので、思わず真由美の愛おしい掌を合わせていた。
「そうだね、それにしてもエリー、あなたの手ってお姉さんみたいの大きさだわ。でも固いけどね」
そういわれ愛莉は今の自分の身体を呪うしかなかった。
仮想空間や想い出の中にある山村愛莉に戻っていなかった。まだガイノイドのエリーだ。こんな姿じゃ真由美の前でいるのも嫌だった。そのとき、車椅子の車輪の回転音がした。
「長崎先生、なにされているのですか? あれまあ、エリーと一緒ですか? 丁度良かったわ」
真由美の声に愛莉はおもわず身体を動かしてしまいそうだった。どうやら身体の自由を獲得したようだったが
、今は我慢するしかなかった。
「安養寺君、どうしたんだ? いま、エリーのボディに汚れがついていたから、拭っていたんだ」
淳司はダウンロード完了したことを確認してから首筋からメディアを引き抜いた。そしてハンカチで拭って誤魔化そうとしたわけだ。真由美はその動作に特段気にすることなく話を続けた。
「そうですが、午後から理工学部に見学しに行くのですが、許可証はこれでいいですよね? 」
そういって真由美は持っている端末で電子許可証を表示していた。
「ああ、そういえばエリーにも許可証が要ったよね。その中に入っていないようだな」
淳司は確認すると、急いでどこかにメールを打つと、その電子許可証が変更された。
「危なかったな! これでエリーも介助者として入れるから。エリーはゲートで電子鍵コードをかざすように」
この時、愛莉はエリーの統括システムが受け取ったのを確認した、その電子鍵コードがロボット用なのが少し悲しかった。
「かしこまりました、長崎先生。予定通りに安養寺真由美さんと同行します」
エリーの人工音声システムがそう応答した。どうも、まだ音声までは自由になるようになっていないようだ。
「お世話になるわ、エリー」
そういうと真由美はエリーのボディーに触れた、その感覚をエリーの感覚システムを介して愛莉は感じていた。彼女の柔らかな手の温もりを! それを感じる愛莉のボディは固められているのを知らせる事は出来なかった。
「ありがとうございます真由美さん。なにか山村愛莉さんの手がかりがあればいいですね」
愛莉はまだ自分の事を言えないことがもどかしかった。でもエリーの動作システムを自由に出来るようになったので、思わず真由美の愛おしい掌を合わせていた。
「そうだね、それにしてもエリー、あなたの手ってお姉さんみたいの大きさだわ。でも固いけどね」
そういわれ愛莉は今の自分の身体を呪うしかなかった。
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