68 / 198
エリーは探偵として推理する
69・固められた身体
しおりを挟む
愛莉は少し嬉しくなった、しかし身体を自由に動かせるといってもその身体は変わり果てていた、機械の身体に。こんな固められた身体を自由に動かせたとしても、本当に自由ではなかった、囚人扱いのままだし、人間に戻れるわけではないから。
仮想空間や想い出の中にある山村愛莉に戻っていなかった。まだガイノイドのエリーだ。こんな姿じゃ真由美の前でいるのも嫌だった。そのとき、車椅子の車輪の回転音がした。
「長崎先生、なにされているのですか? あれまあ、エリーと一緒ですか? 丁度良かったわ」
真由美の声に愛莉はおもわず身体を動かしてしまいそうだった。どうやら身体の自由を獲得したようだったが
、今は我慢するしかなかった。
「安養寺君、どうしたんだ? いま、エリーのボディに汚れがついていたから、拭っていたんだ」
淳司はダウンロード完了したことを確認してから首筋からメディアを引き抜いた。そしてハンカチで拭って誤魔化そうとしたわけだ。真由美はその動作に特段気にすることなく話を続けた。
「そうですが、午後から理工学部に見学しに行くのですが、許可証はこれでいいですよね? 」
そういって真由美は持っている端末で電子許可証を表示していた。
「ああ、そういえばエリーにも許可証が要ったよね。その中に入っていないようだな」
淳司は確認すると、急いでどこかにメールを打つと、その電子許可証が変更された。
「危なかったな! これでエリーも介助者として入れるから。エリーはゲートで電子鍵コードをかざすように」
この時、愛莉はエリーの統括システムが受け取ったのを確認した、その電子鍵コードがロボット用なのが少し悲しかった。
「かしこまりました、長崎先生。予定通りに安養寺真由美さんと同行します」
エリーの人工音声システムがそう応答した。どうも、まだ音声までは自由になるようになっていないようだ。
「お世話になるわ、エリー」
そういうと真由美はエリーのボディーに触れた、その感覚をエリーの感覚システムを介して愛莉は感じていた。彼女の柔らかな手の温もりを! それを感じる愛莉のボディは固められているのを知らせる事は出来なかった。
「ありがとうございます真由美さん。なにか山村愛莉さんの手がかりがあればいいですね」
愛莉はまだ自分の事を言えないことがもどかしかった。でもエリーの動作システムを自由に出来るようになったので、思わず真由美の愛おしい掌を合わせていた。
「そうだね、それにしてもエリー、あなたの手ってお姉さんみたいの大きさだわ。でも固いけどね」
そういわれ愛莉は今の自分の身体を呪うしかなかった。
仮想空間や想い出の中にある山村愛莉に戻っていなかった。まだガイノイドのエリーだ。こんな姿じゃ真由美の前でいるのも嫌だった。そのとき、車椅子の車輪の回転音がした。
「長崎先生、なにされているのですか? あれまあ、エリーと一緒ですか? 丁度良かったわ」
真由美の声に愛莉はおもわず身体を動かしてしまいそうだった。どうやら身体の自由を獲得したようだったが
、今は我慢するしかなかった。
「安養寺君、どうしたんだ? いま、エリーのボディに汚れがついていたから、拭っていたんだ」
淳司はダウンロード完了したことを確認してから首筋からメディアを引き抜いた。そしてハンカチで拭って誤魔化そうとしたわけだ。真由美はその動作に特段気にすることなく話を続けた。
「そうですが、午後から理工学部に見学しに行くのですが、許可証はこれでいいですよね? 」
そういって真由美は持っている端末で電子許可証を表示していた。
「ああ、そういえばエリーにも許可証が要ったよね。その中に入っていないようだな」
淳司は確認すると、急いでどこかにメールを打つと、その電子許可証が変更された。
「危なかったな! これでエリーも介助者として入れるから。エリーはゲートで電子鍵コードをかざすように」
この時、愛莉はエリーの統括システムが受け取ったのを確認した、その電子鍵コードがロボット用なのが少し悲しかった。
「かしこまりました、長崎先生。予定通りに安養寺真由美さんと同行します」
エリーの人工音声システムがそう応答した。どうも、まだ音声までは自由になるようになっていないようだ。
「お世話になるわ、エリー」
そういうと真由美はエリーのボディーに触れた、その感覚をエリーの感覚システムを介して愛莉は感じていた。彼女の柔らかな手の温もりを! それを感じる愛莉のボディは固められているのを知らせる事は出来なかった。
「ありがとうございます真由美さん。なにか山村愛莉さんの手がかりがあればいいですね」
愛莉はまだ自分の事を言えないことがもどかしかった。でもエリーの動作システムを自由に出来るようになったので、思わず真由美の愛おしい掌を合わせていた。
「そうだね、それにしてもエリー、あなたの手ってお姉さんみたいの大きさだわ。でも固いけどね」
そういわれ愛莉は今の自分の身体を呪うしかなかった。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

機械娘として転移してしまった!
ジャン・幸田
SF
わたしの名前、あれ忘れてしまった。覚えているのはワープ宇宙船に乗っていただけなのにワープの失敗で、身体がガイノイドになってしまったの!
それで、元の世界に戻りたいのに・・・地球に行く方法はないですか、そこのあなた! 聞いているのよ! 教えてちょうだい!

昼は学生・夜はガイノイド
ジャン・幸田
SF
昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?
女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!
彼女の想いの行方はいかなるものに?

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱
ジャン・幸田
SF
何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。
過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。
どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!
ジャン・幸田
SF
バイトの面接に行ったその日からシフト?
失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?
機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる