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エリーは探偵として推理する

57・動機はわかっても黒幕は(2)

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 犯人を予想する。それは推理小説が好きな真由美がよくしていたことだ。全寮制の学校にいた時のことだ。同級生でもないのに、いつも愛梨の傍に真由美がいたが、夕食後の学習時間のはずなのに、いつも推理小説ばかり読んでいた。それがパパと唯一共通する趣味なんだといっていた。そんな真由美に現在の愛莉が遭遇している事態について意見を聞けたらいいのにとふと思ってしまった。誰が愛莉を冤罪の濡れ衣を着せたのかと。

 怪しいのは大勢いるし、疑ったら誰もかれも対象者になった。一見すると協力しているような長崎淳司さえも例外でなかったし、この部屋の管理者である丹下教授も。もし丹下教授が黒幕だったら、既にアイリがダミーだとバレているのかもしれない。

 後で知った事であるが、ここ帝央大学には全身拘束刑を受け機械にされた者が数多く稼働していた。その素性を知っているのが大学トップの総長と一部幹部だけだった。だから黒幕が指図していたら愛莉の運命は決まっていたのかもしれなかった。

 その時、淳司からメールが電脳に直接着信した。それにしても頭に直接メッセージなんて機械になるというのは便利だけど嫌だった。

 「愛莉ちゃん、首相の講演会の予定が変わったよ。だから理工学部に潜入する方法も変わるからね♡」

 潜入方法が変わる? いったいなによそれ? そう思ったけど返信は出来なかった。そんな自由意志があることを司法省の管理サーバーに暴露するからだ。愛莉の電脳に自我の稼働を報告しないように設定していても危険があったからだ。

 そのとき、愛莉はエリーのボディを動かしてみた。
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