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エリーは探偵として推理する
45・求めるべき真実(9)
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“闇の司法部”とは帝央大学OBによる一種の秘密結社に対する名称で、十年ほど前から週刊誌などで報じられるようになったが、新聞やテレビなどの報道機関は一切取り上げないというものであった。そもそもこの国のエリート層といえば、首都国立大学など旧制六大学といった大学出身者が大半を占めており、帝央は法曹界に人材を輩出している割合が多いとはいえ、二十一世紀に入ってから地位が低下しているといわれていた。
だが十年前にアメリカ・中国・欧州連合・ロシアなどの主要国各国による大規模な経済戦争とそれに伴う政治の混乱で世界的危機が到来した時、その混乱に対応したのが”闇の司法部”という存在だった。大混乱に陥った政財界の従来からいたエリート層を粛清し、民意という名の武器によって事実上の独裁権を手に入れたとされて、その後つい最近までこの国を掌握していたという。
具体的には、従来の親米派などを一掃し、いづれの国にも関与せずに漁夫の利を得るというもので、主要国が消耗していく中でかつての経済大国を復活させた。途中、麗華民主共和国による世界同時多発テロによる惨禍に見舞われたが、麗華旧政権消滅後の混乱期には各国政府に援助する事が出来た。
そんな”闇の司法部”のメンバーとされているのが、死刑制度廃止と代替制度として全身拘束刑の導入を推進した司法長官で現在の首相の杠であった。彼自身は帝央大通信教育部出身で大学に通った事は殆どないにもかかわらず、人脈を持っているようだ。だから、今回の愛莉の冤罪事件の黒幕の第一候補であった。
「やはり”闇の司法部”の最高権力者は杠首相かもね。首相だったら警察や司法をコントロールしてやりたい放題しても隠せるだろうしね」
愛莉はそう推理したがそれを阻害する要因といえば、さっきの会話であった。高代准教授らしい人物が首相をあいつ呼ばわりしたが、自分の組織のトップをそんな風に呼ぶとすれば、不満でもある時だろうし、それに事態について何も知らないなんて操とみられる女が話しているのが不自然だった。では、誰だというのだろうか? やはり、理工学部に潜入しなければ分からないかもしれなかった。
しかし、それは大きなリスクがあった。正体がバレた時、愛梨は簡単に洗脳されてしまう事だ。今の愛莉はガイノイド用の電脳に改造されているからだ。捕まったら電脳に制御プログラムをインストールして上書きするなりして、絶対服従させるのは簡単だから。これは淳司が愛莉の自我を復元したのとは反対をすればいいからだ。
「とりあえずは理工学部に潜入してからが勝負だわ。考えられるのはアイリのボディから電脳を取り出すのが誰かというのを確認しなければね。それが分かれば私をこんな機械にした連中に辿りつくはずよね」
愛莉はそういうと自分のボディを見つめた。今の自分は在庫品の女性型戦闘ロボの姿をしていて、武骨で醜いと思っていた。この外骨格の下に愛莉の心が宿っていても、それが分かるのは淳司だけだった。その淳司も全てを信用できなかった。なぜなら二人いるという黒幕の容疑者を教えてくれなかったからだ。だから、淳司が主張するクライアントが正体ではないかという疑念があった。全ては自作自演で、愛梨はマリオネットの如く自分を機械にした連中を探している、全ては黒幕の手の上で・・・
そんな疑心暗鬼に陥った時だった。愛梨の電脳にただちにエリーとして振る舞えという指令が入って来た。どうやら誰か人間がこの研究室に近づいてきたようだ。それでエリーはガイノイドらしい行動をし始めた。ただ部屋を掃除しているだけの機械に戻った。
だが十年前にアメリカ・中国・欧州連合・ロシアなどの主要国各国による大規模な経済戦争とそれに伴う政治の混乱で世界的危機が到来した時、その混乱に対応したのが”闇の司法部”という存在だった。大混乱に陥った政財界の従来からいたエリート層を粛清し、民意という名の武器によって事実上の独裁権を手に入れたとされて、その後つい最近までこの国を掌握していたという。
具体的には、従来の親米派などを一掃し、いづれの国にも関与せずに漁夫の利を得るというもので、主要国が消耗していく中でかつての経済大国を復活させた。途中、麗華民主共和国による世界同時多発テロによる惨禍に見舞われたが、麗華旧政権消滅後の混乱期には各国政府に援助する事が出来た。
そんな”闇の司法部”のメンバーとされているのが、死刑制度廃止と代替制度として全身拘束刑の導入を推進した司法長官で現在の首相の杠であった。彼自身は帝央大通信教育部出身で大学に通った事は殆どないにもかかわらず、人脈を持っているようだ。だから、今回の愛莉の冤罪事件の黒幕の第一候補であった。
「やはり”闇の司法部”の最高権力者は杠首相かもね。首相だったら警察や司法をコントロールしてやりたい放題しても隠せるだろうしね」
愛莉はそう推理したがそれを阻害する要因といえば、さっきの会話であった。高代准教授らしい人物が首相をあいつ呼ばわりしたが、自分の組織のトップをそんな風に呼ぶとすれば、不満でもある時だろうし、それに事態について何も知らないなんて操とみられる女が話しているのが不自然だった。では、誰だというのだろうか? やはり、理工学部に潜入しなければ分からないかもしれなかった。
しかし、それは大きなリスクがあった。正体がバレた時、愛梨は簡単に洗脳されてしまう事だ。今の愛莉はガイノイド用の電脳に改造されているからだ。捕まったら電脳に制御プログラムをインストールして上書きするなりして、絶対服従させるのは簡単だから。これは淳司が愛莉の自我を復元したのとは反対をすればいいからだ。
「とりあえずは理工学部に潜入してからが勝負だわ。考えられるのはアイリのボディから電脳を取り出すのが誰かというのを確認しなければね。それが分かれば私をこんな機械にした連中に辿りつくはずよね」
愛莉はそういうと自分のボディを見つめた。今の自分は在庫品の女性型戦闘ロボの姿をしていて、武骨で醜いと思っていた。この外骨格の下に愛莉の心が宿っていても、それが分かるのは淳司だけだった。その淳司も全てを信用できなかった。なぜなら二人いるという黒幕の容疑者を教えてくれなかったからだ。だから、淳司が主張するクライアントが正体ではないかという疑念があった。全ては自作自演で、愛梨はマリオネットの如く自分を機械にした連中を探している、全ては黒幕の手の上で・・・
そんな疑心暗鬼に陥った時だった。愛梨の電脳にただちにエリーとして振る舞えという指令が入って来た。どうやら誰か人間がこの研究室に近づいてきたようだ。それでエリーはガイノイドらしい行動をし始めた。ただ部屋を掃除しているだけの機械に戻った。
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