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エリーは探偵として推理する

34・身体は監獄のなかに(3)

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 愛莉は真由美を止めないといけないと焦っていた。あなたが探している愛莉はここにいるから、そんな無茶をしないでと。そもそも愛莉を全身拘束刑に陥れたのは、警察の捜査を捻じ曲げ司法の裁きを歪ませた連中だ。そんな権力の悪用で一人の少女を冤罪で機械と融合させたように、一人の少女の探偵気取りの蛮勇なんか簡単に消されるのは目に見えていた。

 しかし心で分かっても身体は動かなかったし、言葉にすることも出来なかった。いまの自分は監獄に入れられているから。しかも、目の前にこうしているのにである! 正体を明かすことも出来なかった!

 「安養寺さん、それは丹下教授の許可を取られているのですか? 他の学部の研究エリアは学生であっても制限されているのですよ」

 エリーがそういうと真由美はファイルにしまっていた書類を出して来た。それは理工学部で開催される講演会の観覧許可証だった。どうやらコネかなんかで入手したようだった。その講演会の講師を見て思い出した。そいつは全身拘束刑導入を推進した司法長官で現在の首相の男の名が記されていた。

 「これで充分でしょ。私のパパの会社の人に頼んだのよ。それでついでに案内してくれるって理工学部ビルをね」

 その時、愛莉は淳司の言葉を思い出していた。今回の陰謀に真由美の父親の会社の者が関与していうと。もしかすると、そいつに頼んだのかもしれないと推測できた。そんな奴が陰謀の網をかけているところに入ろうとしているのか? それは恐ろしい事だといえた。

 「ええ、問題ないはずです。でも、法学部の学生が理工学部に行くのもおかしくないですか?」

 「おかしいわよね、文系なのに理系の方にも行こうとするなんて。それに首相がこられるのですからね。うちのパパはあまり気に入っていないようだから、おかしな顔をしていたわね。でも、それもこれもお姉ちゃんの手がかりを探すためだからね」

 真由美はそういって正当化したが、それは燃え盛る家の中に飛び込むようなものであった。助けに入ったがいいが、自分も犠牲になってしまうかもしれなかった。でも、愛莉は止められなかった。
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