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エリーは探偵として推理する
33・身体は監獄のなかに(2)
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「ねえエリー、あなたってロボットなのよね? どこの製品なの?」
真由美が聞いてきた。彼女の眼にはやはりガイノイドにしかみえないのは当然だった。
「わたしは・・・先端科学技術開発公社製です。いろんなメーカーの共同作業で製造されたものです」
エリーの人工音声はそう答えたが、それは全身拘束刑を執行している組織の名称だった。一般にはその名称で通じているが、製品のどれに囚人が内臓されているのかは高度の機密であった。だから、数多くの一般的なロボットも製造して、カムフラージュしていた。
「ふーん、そうなんだ。もしかすると、あなたって人間、なんてことはないの? うちの父が部品を納入しているっていっていたから」
真由美の指摘は正しかった。目の前に真由美が姉と慕う女が内臓されているから。でも、それを答える事は許されなかった。
「まさか! そんなことありませんよ。それほど高度な製品ではありませんわ! それに、ここにはふさわしくありませんわ。矯正活動になりませんわ」
エリーの中で愛梨は告白したいという衝動に駆られていたが、その時はまだ発言の自由までは承認されていなかった。この時、愛莉は自分を慕う彼女の前で自分だと名乗り出る事が出来ないという苦しみと、機械奴隷に落とされた自分の姿だと知られずに済んでいるという安心感が混在していた。
「それもそうね。でも、ここ帝央ってそういった全身拘束刑受刑者を受け入れているようようだから、もしかするとお姉ちゃんがいるかもしれないからね。なんか手がかりがないかなあと思ってね」
もしかすると真由美は真相を知っているのかもしれなかった。秘密裡に愛莉が改造されたことを。でも、それをどうやって?
「そうなのですか、でもそれって危険ではありません? もしかすると、その人ってここにいないかもしれないですわ」
愛莉は真由美が危険な事をしているような気がして心配だった。この真由美という娘は学校の成績は中の下ぐらいで、世間の常識から少しずれているところもあるが、蛮勇ともいえるような無茶な事をやりかねない無鉄砲な面があった。実際、クラスでいじめっ子グループに突進したこともしばしばあって、相当な怪我をしたこともあったという。もちろん、怪我の理由は足が不自由なのに歯向かったからだ。
「そうかもしれないわね。だからあなたをお願いしたのよ。あなたと一緒ならお姉ちゃんがいなくなったところに入れるからね」
その言葉にエリーいや愛莉は絶句した。この娘は無茶な事をしようとしていると。
真由美が聞いてきた。彼女の眼にはやはりガイノイドにしかみえないのは当然だった。
「わたしは・・・先端科学技術開発公社製です。いろんなメーカーの共同作業で製造されたものです」
エリーの人工音声はそう答えたが、それは全身拘束刑を執行している組織の名称だった。一般にはその名称で通じているが、製品のどれに囚人が内臓されているのかは高度の機密であった。だから、数多くの一般的なロボットも製造して、カムフラージュしていた。
「ふーん、そうなんだ。もしかすると、あなたって人間、なんてことはないの? うちの父が部品を納入しているっていっていたから」
真由美の指摘は正しかった。目の前に真由美が姉と慕う女が内臓されているから。でも、それを答える事は許されなかった。
「まさか! そんなことありませんよ。それほど高度な製品ではありませんわ! それに、ここにはふさわしくありませんわ。矯正活動になりませんわ」
エリーの中で愛梨は告白したいという衝動に駆られていたが、その時はまだ発言の自由までは承認されていなかった。この時、愛莉は自分を慕う彼女の前で自分だと名乗り出る事が出来ないという苦しみと、機械奴隷に落とされた自分の姿だと知られずに済んでいるという安心感が混在していた。
「それもそうね。でも、ここ帝央ってそういった全身拘束刑受刑者を受け入れているようようだから、もしかするとお姉ちゃんがいるかもしれないからね。なんか手がかりがないかなあと思ってね」
もしかすると真由美は真相を知っているのかもしれなかった。秘密裡に愛莉が改造されたことを。でも、それをどうやって?
「そうなのですか、でもそれって危険ではありません? もしかすると、その人ってここにいないかもしれないですわ」
愛莉は真由美が危険な事をしているような気がして心配だった。この真由美という娘は学校の成績は中の下ぐらいで、世間の常識から少しずれているところもあるが、蛮勇ともいえるような無茶な事をやりかねない無鉄砲な面があった。実際、クラスでいじめっ子グループに突進したこともしばしばあって、相当な怪我をしたこともあったという。もちろん、怪我の理由は足が不自由なのに歯向かったからだ。
「そうかもしれないわね。だからあなたをお願いしたのよ。あなたと一緒ならお姉ちゃんがいなくなったところに入れるからね」
その言葉にエリーいや愛莉は絶句した。この娘は無茶な事をしようとしていると。
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