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ガイノイドは人類の奉仕の為に
19・困惑
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全身拘束刑に処せられているエリーの内臓にされている愛莉を探しなさい! 丹下教授はエリーに命じたが、これほど嫌な依頼は無かった。目の前にいるじゃないのよ! 本当ならそう言いたかった。この時、エリーは外見上はガイノイドモードになっていて、必要以上の感情表現が出来ない設定になっていた。ちなみに、エリーの機体の管理権限は丹下教授にあったが、その権限を上回るのを淳司がもっていた。本当に必要な時に完全にエリーの身体の自由を愛莉に譲るために。
その時、授業から淳司が帰って来た。学校教育にオンデマンド授業やネット空間授業など様々なコンテンツ提供が行われるようになって、数十年が経つが、やはり本当に資格を授与する必要がある場合は対面式の古来からの方法の方が重要視されている。
「はーん! 翻訳アプリをつかいすぎるんだよ! 自分の頭の中でもドイツ語で思考しなければ、相手に上手く伝わらないだろう! やっぱり、こまったなあ!」
淳司はドイツ語講座でなにか困った事態があったようだ。でも、こちらの方がもっと困った事になろうとしていた。
「丹下教授。こちらがおっしゃていた彼女ですか? この部屋に不釣り合いな可憐な女の子ですな」
そういって真由美を褒めた。たしかにお嬢様育ちの彼女は人形のように美しかったし、髪の毛の手入れも念入りにされている。もし、彼女が車いすに座っていなかったら、なにも苦労などしていないと思われるだろう。彼女の性格はワガママで嫉妬深いという、女の子としてはマイナスな面もあるが、彼女は結構苦労していた。
十歳の時に足に事故で障害をおってからというもの、人と同じようにしようとしてきたのだ。水泳の授業の時には動かないうえに膝から先がないにもかかわらず、他の生徒と同じ距離を上半身の力だけで泳ぎ切ったこともあった。人には見せたくなかった足の切断面を晒しながら!
「まあ、お上手いうお兄さんですわね! あなた何の先生なの?」
真由美はワガママな面が垣間見えるような話し方をしていた。相手がチャラ男にしかみえないから仕方なかったかものしれないが。
「ドイツ語! 法学部なら必要だ! 選択しているんだろ! 君も!」
いつの時代でも第二外国語の選択の定番と言ったらドイツ語のはずだった。まあ、最近では母国語を第二外国語にしているような学生も少なくはないけど。
「わたし? わたしはフランス語よ! おばあ様がフランス人でしたから! なんか都合悪い事でもあります?」
そういえば、真由美はフランス人の血が入っているのを自慢していたなと愛梨は思い出していた。もっともお嬢様学校では自分や自分の家族を自慢する女の子ばっかりだったので、それほど異常に思えなかったけど、世間から言えばズレていたんだといえる。その中で愛梨は異質な存在であったが。特待生として寄宿舎の費用も授業料も全て免除されていたからだ。結構、無視というイジメにあったこともあったけど、なぜか真由美のおかげで救われた。
「はい、はい、それはご自由ですから。それにしても君のお父様って安養寺ハイテクノロジーのCEOだろ? そこのエリーのボディも作っているそうだな」
真由美のお父さんの会社の製品? 愛莉は自分の身体をロボットにしか見えなくしている外骨格の製造元を聞いて困惑していた。真由美のお父さんには、もしよかったらうちの会社で働かないかと本気とも冗談とも取れるような事をいわれたことがあった。じゃあ、いまは真由美の会社の製品なのわたしは! そう考えると嫌になった自分に気付いて落ち込んでいた。もちろん、誰にも伝わることは無かった。
その時、授業から淳司が帰って来た。学校教育にオンデマンド授業やネット空間授業など様々なコンテンツ提供が行われるようになって、数十年が経つが、やはり本当に資格を授与する必要がある場合は対面式の古来からの方法の方が重要視されている。
「はーん! 翻訳アプリをつかいすぎるんだよ! 自分の頭の中でもドイツ語で思考しなければ、相手に上手く伝わらないだろう! やっぱり、こまったなあ!」
淳司はドイツ語講座でなにか困った事態があったようだ。でも、こちらの方がもっと困った事になろうとしていた。
「丹下教授。こちらがおっしゃていた彼女ですか? この部屋に不釣り合いな可憐な女の子ですな」
そういって真由美を褒めた。たしかにお嬢様育ちの彼女は人形のように美しかったし、髪の毛の手入れも念入りにされている。もし、彼女が車いすに座っていなかったら、なにも苦労などしていないと思われるだろう。彼女の性格はワガママで嫉妬深いという、女の子としてはマイナスな面もあるが、彼女は結構苦労していた。
十歳の時に足に事故で障害をおってからというもの、人と同じようにしようとしてきたのだ。水泳の授業の時には動かないうえに膝から先がないにもかかわらず、他の生徒と同じ距離を上半身の力だけで泳ぎ切ったこともあった。人には見せたくなかった足の切断面を晒しながら!
「まあ、お上手いうお兄さんですわね! あなた何の先生なの?」
真由美はワガママな面が垣間見えるような話し方をしていた。相手がチャラ男にしかみえないから仕方なかったかものしれないが。
「ドイツ語! 法学部なら必要だ! 選択しているんだろ! 君も!」
いつの時代でも第二外国語の選択の定番と言ったらドイツ語のはずだった。まあ、最近では母国語を第二外国語にしているような学生も少なくはないけど。
「わたし? わたしはフランス語よ! おばあ様がフランス人でしたから! なんか都合悪い事でもあります?」
そういえば、真由美はフランス人の血が入っているのを自慢していたなと愛梨は思い出していた。もっともお嬢様学校では自分や自分の家族を自慢する女の子ばっかりだったので、それほど異常に思えなかったけど、世間から言えばズレていたんだといえる。その中で愛梨は異質な存在であったが。特待生として寄宿舎の費用も授業料も全て免除されていたからだ。結構、無視というイジメにあったこともあったけど、なぜか真由美のおかげで救われた。
「はい、はい、それはご自由ですから。それにしても君のお父様って安養寺ハイテクノロジーのCEOだろ? そこのエリーのボディも作っているそうだな」
真由美のお父さんの会社の製品? 愛莉は自分の身体をロボットにしか見えなくしている外骨格の製造元を聞いて困惑していた。真由美のお父さんには、もしよかったらうちの会社で働かないかと本気とも冗談とも取れるような事をいわれたことがあった。じゃあ、いまは真由美の会社の製品なのわたしは! そう考えると嫌になった自分に気付いて落ち込んでいた。もちろん、誰にも伝わることは無かった。
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