キグルミ男の娘にさせないで！

誘われて

　先生に導かれるがまま、僕はダイニングに入った。そこでお手伝いのおばさんが食事の用意をしていたので少しはずかしかった。今いるのは先生の別荘のようで、家具などはあまり置かれておらずシンプルな内装だった。でも天井だけやたらと高いのが印象に残るところだった。その時、緊張気味だというのにお腹が空いていたので食事は進んでしまった。その時、ふと気付いた。自分は女の子の姿をしているんだと！

　「先生、なんか僕・・・こんな風に雑な感じでいいのですか？」

　なんとなく、恥ずかしくなったのは自分が女の子の恰好をしているのに男のガサツな食べ方をしているような気がしたからだ。

　「そうだねえ、でも分かるよ。君は本来の心の有り様に近づけたいのだと。君は乙女のような感性をもっているんだ。だから体験してみないか、女の子になることを」

　先生はそう言うと立ち上がって別の部屋へと行ってしまった。その時、外は物凄い豪雨が奏でる爆音に支配されているようだった。するとお手伝いさんがこう言ってきた。

　「あなたはね、坊ちゃんに選ばれたのですよ。悪いようにはまりませんわ。それに天気予報ではこの雨は明日の午後まで続きますから、ここから出る事は危険ですから」

　「そうですか・・・いままでも、このような事はあったのですか？　その先生が誘うような事は？」

　そう質問したけどお手伝いさんは少し考え込んだうえでこう切り返した。

　「ありましたとも！　みんな満足だといった感じで！　そのあとは・・・まあお楽しみにね」
　
　暗号のような意味の分からない事を言われた直後、先生が戻って来た。その手には大きな人形の頭を抱えていた。

　「先生それって？」

　僕はおもわず立ち上がってその手に向っていた。

　「これか？　美少女着ぐるみマスクさ！　これを君に被ってもらう！」

　被ってもらう？　そう思って僕はそのマスクを手に持った。そのマスクの瞳を見た時、僕の心に何かが流れ込んできた。その瞳に魅入られたかのように。

　「これを被るって、つまりは？」

　「それはね、君が美少女体験するって事さ。体験することで君の心に眠っている乙女心を覚醒させてあげるのさ」

　そういうと、先生は僕の肩を愛撫するかのようにこういってきた。

　「君のような美少年が美少女になるのが嬉しいんだよ。君もやりたいんだろ？　男の娘になるのよ！」