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サンドラはアルベルトの黒幕と対決す!(サンドラ目線)

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 王宮内で発生した弾薬庫の爆発事故いや爆発事件以来、王国政府は人々からの支持を急激に失っていった。王都からは貴族階級から下層階級まで住民が脱出していった。また王国常備軍も各地で勃発した反乱の鎮圧のためと称して出兵して中央との指示系統を遮断するようになった。

 王国は急激に崩壊していった。アルベルトとネルディが治めているのは人々から見捨てられた王都のみであり、それも風前の灯火であった。


 アルベルト夫婦がボロボロになったクオモ邸宅で嵐の夜を迎えていたころ、サンドラはシータとともにネルディの馬車を追っていた。ネルディは今回のクーデターの本当の黒幕に会うと睨んでのことだった。ネルディが向かったのは王都の北にある砦であった。そこはクモオ家の情報網によれば軍部尚書キヨソーネの配下の者が勝手に使っているということであった。

 「お嬢様、なにも此処まで来なくてもいいのに、危険ですわ」

 シータは心配していたが、一度言い出したら最後まで実行するサンドラなのであきらめていた。

 「そうね、危ないわね。ネルディ様を操っている黒幕を直接しりたいのよ。なんだって私の婚約を潰したんですからね」

 サンドラは影の者と同じ姿をしていた。とてもじゃないが伯爵令嬢には見えなかった。もっともクモオ一族は文武両道に厳しく鍛えられているので、して当たり前であったが。

 「黒幕ですか・・・ところでお嬢様はアルベルト様の事をどう思っていたのですか? 失礼かもしれませんが教えていただけないでしょうか?」

 シータは砦の外にある小さな小屋の中でネルディの馬車を見張りながらそんなことを聞いた。

 「そうねえ、義務を果たすべき相手だとしか思っていなかったわ。知ってのことだと思うけど私の祖母はこの国の王家の直系で、アルベルトは相当遠い男爵家の孫じゃないのよ。男系というだけで祭り上げられたけど今の王家は殆ど支持がないから、私が王家に入ることで支持を回復しようとボヌッチ様がお決めになったのよ。
 アルベルト様が私の事を良いように思っていなかったように、私もね。まあ、不相思不相愛ってところね。だからカルメンちゃんと仲良くなっても気にしなかったわよ。ヤキモチを焼くような関係じゃないしね。
 だから、フツーに気に入らないなら婚約破棄を早くしてくれたらよかったのにね。反対するはずの国王陛下やボヌッチ様をあんなふうに追い出そうとするなんて正気じゃないわね。そんなことをさせた奴の顔を見たかったのよ」

 サンドラは饒舌に言ったが、やはりアルベルトは義務を果たすだけの関係にしか思っていなかったのが分かった。

 「それじゃあ、お嬢様はこれからどうされるのですか? この国はどうなるのですか?」

 「この国はね・・・ここだけの話潰れるわね。後はおにいさまとお父様がいいようにするはずだわ。私はね、世界を旅したいわね。折角アルベルトという牢獄に行かなくてもよくなったのだからね」

 サンドラは満面の笑みを浮かべていた。
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