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サンドラはアルベルトの黒幕と対決す!(サンドラ目線)

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 アルベルトといいネルディといい、はっきり言ってしまえばクーデターなんて大胆な事は出来ないはずだった。無能とまではいえなくても、あまり有能ではない人物だ。それは王国政府全体にいえることであったが。

 実はクーデターが起きるかもしれないという噂はサンドラの耳にも入っていた。だからクオモ家はアルベルトの父である国王陛下に秘密裡に知らせていたが、防ぐことはできなかった。発生するにしても少し先と楽観視していたこともあるが、まさか婚約破棄と同時に決行するのは想定外だった。防げなかったのは黒幕に操られているのは誰かという予測をはずしたためだ。婚約破棄で政権を第一王子と恋人の父が奪取するなんて空前絶後のことだった。

 「カルメン様、これからどうします? せっかく来ていただいたのですが、ここも危険です。それに激しい雨が降っております。洪水で王都は水没するかもしれません」

 ここ王都は大きな川に挟まれた町であった。堤防を兼ねた城壁に守られていたが、王城の弾薬庫の爆発により大きく崩れていた。そこから増水した水が入れば王都など湖になるのは避けられない事であった。

 「そうですね。しかし、アルベルト王子いや国王を僭称している彼を操っている者が必ず近くにいるはずです。ところで宰相閣下と国王陛下御一家について分かったことはありませんか?」


 カルメンが促すと一人の男が発言許可を求めてきた。

 「報告します。ボヌッチ様ですが北の監獄に他の反クーデター派の政府要人とともに投獄されています。国王陛下ですが王城から拉致されたあとは、東の帝国に連れ去らわれたようです。もっともクーデター政権では流刑にしたなどといっておりますが、もしかするとお命が・・・」

 それを聞いたカルメンは顔を伏せた。もしかするとこの国は終わりなのかもしれないと。黒幕と疑わしいのは東の帝国も西も帝国も怪しかった。この王国は二つの帝国の勢力が直接対峙しないようにするための緩衝国であった。もし二つの帝国のいずれもしくは双方が邪魔だと思えば、潰して滅亡させることは簡単であった。口実があればであるが、今は王国への内政干渉がしやすい状態だ。僭称する無能な国王が統治しているし。

 「わかったわ、ところでネルディですが監視しているのよね」

 「はい」

 「彼が出かけたら報告して。わたしも合流するから」

 どうやらカルメンはネルディの背後にいる者を確かめる気のようであった。
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