38 / 43
サンドラはアルベルトの黒幕と対決す!(サンドラ目線)
38
しおりを挟む
サンドラは脱出したばかりの王都に戻った。あまりにも危険なので髪の毛を黒く染めて顔にアバタの模様を書き込んで変装した。王都にはクモオ家の隠密部隊が活動しており、アジトのひとつにもぐりこんだ。
「お嬢様も無理されるよね。目的は・・・ずばり婚約破棄させた張本人に会うためでしょ!」
シータは呆れていた。サンドラは夫たる国王に何か危険に遭遇した時に対処できるようにと、護身術ばかりか格闘技も平均以上の能力を持っていた。だから隠密部隊の戦闘員と同じかそれ以上の活動は出来るのであった。
「そうよ! このまま知らないうちにどこかにいくのは癪にさわるからよ! 婚約破棄された伯爵令嬢なんて貰い手はないのよ! せめて婚約解消ぐらいにしてほしかったものなのにね! アルベルトにあんなことをさせたのはネルディのオジサンじゃないだろうしね!」
アジトからは王都の大聖堂が見えた。その日はアルベルトとカルメンとの結婚式だった。本当はサンドラは結婚式に潜入したかったが、あまりにも危険性が高いので、ここで待機していた。結婚式の最中も王都から荷物を抱えて脱出する人々の列が見えていた。それはまるで災害を察知したネズミが逃げていくかのようであった。
「報告します! 結婚式ですが不首尾に終わるようです。粛清によって聖歌隊すら真面に編成できなかったそうです」
結婚式の様子については逐次報告が上がっていた。クモオ家の隠密部隊の諜報能力は高かった。でも、アルベルトによるクーデター計画を掴んだときは全て手遅れだった。辛うじてクモオ家の主要メンバーとクモオ派の貴族や官吏の一部を王都から脱出させるのが精いっぱいだったが。
「やっぱりですわ! 粛清、といっても国をぶっ壊す方向に行っている様ですわ。これじゃあひと月も持たないでしょうね。クモオ様も次の計画を実行するしかないでしょうね」
シータは予想以上に王国の崩壊が進んでいるのを察知していた。アルベルトとカルメンの結婚は王国に死の病を運んできたのは間違いないということだ。
「お父様は・・・独立するのですか? そしてカール殿下の配下になるってことですよね」
サンドラがそう言っているとき、轟音が王都中に響いた。この時、大聖堂の鐘楼から複数の釣り鐘が落下する事故が発生した。それはまさに王国滅亡の序曲の始まりであった。
「お嬢様も無理されるよね。目的は・・・ずばり婚約破棄させた張本人に会うためでしょ!」
シータは呆れていた。サンドラは夫たる国王に何か危険に遭遇した時に対処できるようにと、護身術ばかりか格闘技も平均以上の能力を持っていた。だから隠密部隊の戦闘員と同じかそれ以上の活動は出来るのであった。
「そうよ! このまま知らないうちにどこかにいくのは癪にさわるからよ! 婚約破棄された伯爵令嬢なんて貰い手はないのよ! せめて婚約解消ぐらいにしてほしかったものなのにね! アルベルトにあんなことをさせたのはネルディのオジサンじゃないだろうしね!」
アジトからは王都の大聖堂が見えた。その日はアルベルトとカルメンとの結婚式だった。本当はサンドラは結婚式に潜入したかったが、あまりにも危険性が高いので、ここで待機していた。結婚式の最中も王都から荷物を抱えて脱出する人々の列が見えていた。それはまるで災害を察知したネズミが逃げていくかのようであった。
「報告します! 結婚式ですが不首尾に終わるようです。粛清によって聖歌隊すら真面に編成できなかったそうです」
結婚式の様子については逐次報告が上がっていた。クモオ家の隠密部隊の諜報能力は高かった。でも、アルベルトによるクーデター計画を掴んだときは全て手遅れだった。辛うじてクモオ家の主要メンバーとクモオ派の貴族や官吏の一部を王都から脱出させるのが精いっぱいだったが。
「やっぱりですわ! 粛清、といっても国をぶっ壊す方向に行っている様ですわ。これじゃあひと月も持たないでしょうね。クモオ様も次の計画を実行するしかないでしょうね」
シータは予想以上に王国の崩壊が進んでいるのを察知していた。アルベルトとカルメンの結婚は王国に死の病を運んできたのは間違いないということだ。
「お父様は・・・独立するのですか? そしてカール殿下の配下になるってことですよね」
サンドラがそう言っているとき、轟音が王都中に響いた。この時、大聖堂の鐘楼から複数の釣り鐘が落下する事故が発生した。それはまさに王国滅亡の序曲の始まりであった。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
あなたへの想いを終わりにします
四折 柊
恋愛
シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)
真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる