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婚約者に要らないとおもわれ追い出された!(サンドラ目線)

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 アルベルトは完全に担ぎ出されただけだとサンドラは確信した。婚約者を交代させるためだけにクーデターを起こす程人望がないのは明らかだし無謀だった。そんな無茶がうまくいくはずないと。

 王都から次から次へと情報がもたらされたが、フツーの判断力があれば国を潰そうとしているようにしかおもえなかった。この国は東西二つの帝国に挟まれており、政変が起きれば付け込まれる危険があった。

 「それにしても無茶よね! こんなにあたしと結婚したくないのなら相談してくれたらよかったにね。ほんとうにアルベルトちゃんといったら・・・駄目ね」

 サンドラは「国王」アルベルトの連発する勅令に最初のうちは呆れていたが、そのうち「宰相」ネルディもまた担がれているだけのように思えた。このままでは一か月もしないうちに王国は滅亡するのは間違いなかった。このまま元婚約者のアルベルトが自滅することに複雑な思いがあった。

 「ねえ、セバスチャン。アルベルトちゃんとカルメンちゃんを助けようかしらね?」

 サンドラの言葉に執事のセバスチャンは驚いた。追い出された相手に未練があるのかと思ったが違っていた。

 「別に二人の事が可哀そうな事になっても仕方ないと思うのよ。でもね、それで大勢の人が不幸になるなら見逃せないわね。いっそうのことなんだけど・・・王都に戻ってみようかなと思うのよ!」

 セバスチャンは腰を抜かした。

 「なりませぬ! 殺されますよ! 本当に殺されるところだったのですから!」

 「そうねえ。でも気になるのよ! アルベルトちゃんとカルメンちゃんのお父さんを操っている連中のことが。この目で確かめてみたいのよ」

 セバスチャンはおどおどしていたが、後ろから中年女性が近づいてきた。彼女はサンドラの王都からの脱出を手助けした者であった。

 「お嬢様も無茶な事を言い出すことですね。その気があるのでしたら私に同行しても構いませんよ。これから兄上に命で潜入するところですから」

 そのものはシータといい、クモオ伯爵家の隠密部隊を率いていた。
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