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婚約者に要らないとおもわれ追い出された!(サンドラ目線)

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 ウルディ帝国皇太子オットーが自分に夢中になっているのはサンドラは知っていた。もちろん相手は既にアルベルトの婚約者になっているというのは百も承知だった。オットーとは兄が留学でウルディ帝国向かう際に同行した先で出会った。以来何かにつけて手紙をよこすこともあった。それに対しサンドラは気に留めないようにしていた。自分はもう婚約しているからと。

 それにしてもアルベルトは! とサンドラは思っていた。無視こそしなかったがあんまり仲良くしたくはないというオーラを感じ取っていたからだ。オットーの何分の一でもいいから想いをよせてほしいものであった。それに、気が付いていないとでも思ったのか、浮気をしていた。またカルメンが自分の悪口を言いふらしていたし。全て筒抜けだったし。

 ある時なんかサンドラがメイドに変装して王宮に潜入した時、アルベルトとカルメンが逢瀬を重ねている場面に遭遇した。その時の二人の淫靡に乱れた痴態は、サンドラにアルベルトと契りを結ぶことを想像しただけで嫌悪感があふれたものである。

 サンドラはなんでおバカな二人の事を思い出さないといけないのよと、思い直した。ウルディ帝国が狙っているのはおそらく王国全土だといえた。王国の直轄領化はコストがかかるのでしないだろうが、一部の領土の割譲もしくは帝国内国家への格下げを狙っているだろう、そう思えた。特に今回のアルベルトとネルディのクーデターは格好の口実といえるだろう。でも、疑問もあった。ただの婚約破棄がなぜここまでの事態をまねいたのだろうか?

 確証はないが保守派の軍務尚書が東の大国トブジャール帝国と癒着している可能性があった。なぜならアルベルトの婚約者にサンドラがなること自体を反対していたから。国王マリウス二世による議会開設構想といった政策にあからさまに反対をとなえていたところを見ると、裏切ったのかもしれなかった。

 「あーあ、なんで馬鹿なのかしらアルベルトって。婚約破棄したいのなら他の政治家の力なんか借りなければよかったのにね。私だって嫌だったというのにね婚約したことが。王国の未来のためにと我慢してきたけど、崩れだしているわね」

 サンドラが溜息交じりでつぶやいでいた時、王国の崩壊は急加速で進行していた。アルベルトの婚約者を裏切ったことがトリガーとなったわけだ。二つの帝国により王国が引き裂かれようとしていた。

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