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婚約者に要らないとおもわれ追い出された!(サンドラ目線)
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王国で定められている法律をサンドラは全て把握していた。だからアルベルトの無茶ぶりは全て承知していた。でも承知をしたうえでわざと黙って王都を後にしたのは、あそこで抵抗する利益はなかったからだ。
まだ正式に王太子に推挙されていないアルベルトが国王が定めた婚約者を破棄するのは許されるはずはなかった。それは王命に反する行為であり、それだけで廃嫡されてもおかしくない行為であった。もっともアルベルトの弟は病弱で生まれつき生殖能力がないという噂もあるので、どんなに政治的無能でも廃嫡されなかったかもしれないが。
「で、自分が国王になったわけなの? それでカルメンちゃんと結婚するわけ?」
サンドラは王都からもたらされた情報に呆れていた。しかも婚約破棄と一緒にクモオ公爵家のお取りつぶしも決定したという。
「そうでございます。お嬢様はもう婚約者でも伯爵令嬢でもないそうですよ」
セバスチャンはそういったが少しおかしいと思っているような表情をしていた。クモオ公爵領で生み出される富は王国の三分の二に相当するし、国庫に納める税収も半分はクモオ公爵領である。すでにクモオ公爵領は王国から経済的にも政治的にも自立していた。そんなクモオ公爵家を取り潰す力は王国は持っていなかった・
「そおなの! おかしいわね! ボヌッチ宰相があれほど懇願してお父様がお決めになった婚約だというのにね!」
サンドラの脳裏には10歳で婚約してから今までの事が走馬灯のように浮かんでいた。そこにはサンドラを拒絶するアルベルトの姿があった。アルベルトはサンドラの事を気に入っていなかった。ただ話があったのは何故か鍛冶技術に関するものだった。サンドラがアルベルトに贈って喜んでくれたのは鍛冶道具一式だけであった。
「そうでございますお嬢様。それにしてもカルメン様と結婚するのは、まあ、なんといったらいいんでしょうか、お嬢様が不憫で・・・」
セバスチャンはサンドラが好きな銘柄の紅茶を目の前においてくれた。
「セバスチャン、私は大丈夫よ。カルメンちゃんと殿下が出来ていたのは知っていたわよ。だから私は要らないと思っていたこともね。殿下は知らないだろうけどカルメンちゃんと私は友達よ! 彼女が私のところに想いを伝えてくれていたらなんとかしていたんだけどね」
サンドラの言葉にセバスチャンは驚いていた。
まだ正式に王太子に推挙されていないアルベルトが国王が定めた婚約者を破棄するのは許されるはずはなかった。それは王命に反する行為であり、それだけで廃嫡されてもおかしくない行為であった。もっともアルベルトの弟は病弱で生まれつき生殖能力がないという噂もあるので、どんなに政治的無能でも廃嫡されなかったかもしれないが。
「で、自分が国王になったわけなの? それでカルメンちゃんと結婚するわけ?」
サンドラは王都からもたらされた情報に呆れていた。しかも婚約破棄と一緒にクモオ公爵家のお取りつぶしも決定したという。
「そうでございます。お嬢様はもう婚約者でも伯爵令嬢でもないそうですよ」
セバスチャンはそういったが少しおかしいと思っているような表情をしていた。クモオ公爵領で生み出される富は王国の三分の二に相当するし、国庫に納める税収も半分はクモオ公爵領である。すでにクモオ公爵領は王国から経済的にも政治的にも自立していた。そんなクモオ公爵家を取り潰す力は王国は持っていなかった・
「そおなの! おかしいわね! ボヌッチ宰相があれほど懇願してお父様がお決めになった婚約だというのにね!」
サンドラの脳裏には10歳で婚約してから今までの事が走馬灯のように浮かんでいた。そこにはサンドラを拒絶するアルベルトの姿があった。アルベルトはサンドラの事を気に入っていなかった。ただ話があったのは何故か鍛冶技術に関するものだった。サンドラがアルベルトに贈って喜んでくれたのは鍛冶道具一式だけであった。
「そうでございますお嬢様。それにしてもカルメン様と結婚するのは、まあ、なんといったらいいんでしょうか、お嬢様が不憫で・・・」
セバスチャンはサンドラが好きな銘柄の紅茶を目の前においてくれた。
「セバスチャン、私は大丈夫よ。カルメンちゃんと殿下が出来ていたのは知っていたわよ。だから私は要らないと思っていたこともね。殿下は知らないだろうけどカルメンちゃんと私は友達よ! 彼女が私のところに想いを伝えてくれていたらなんとかしていたんだけどね」
サンドラの言葉にセバスチャンは驚いていた。
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