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ざまあねえな!

25 極刑!?(2)

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 アルベルトはサンドラの姿を見るなりすぐに飛びかかろうとしたが無駄だった。腕は縛られ足枷がはめられオマケに猿轡まではめられていた。それでは動き辛いし罵倒するのは満足にできなかった。その時出来たことといえば、その場に前のめりに倒れ言葉にならない獣のような唸り声を発するだけであった。その様子を見た見物人からは爆笑と罵倒の声が沸き起こった。滑稽にしかみえなかったようだ。

 この時、アルベルトは悔しかった。少し前に断罪の上に婚約破棄をに言い渡した元の婚約者が薄ら笑いを浮かべていることに。サンドラはなぜこの場にいるのか? それは知らされていなかったが、それはどうでもいい事であった。もうすぐ妻のカルメンと一緒に処刑されるのだから。断罪の上に命を奪われる、しかも最も苦痛が大きいとされる火あぶりによってだ。

 アルベルトもカルメンも猿轡されていたが、これは呪いの声を上げさせためと、獣のように殺す意味があった。二人は極悪非道の犯罪者というわけだ。アルベルトは自分の罪を悔いていなかった。全ては嫌な婚約者を捨てたかった、好きになったカルメンと一緒になりたかっただけだ。それが罪だというのか? 
 
 この国の死刑執行人が目の前に現れた。死刑執行人は世襲制であり、決められた家が執り行うとされていた。しかし全身黒衣装に覆われ顔どころか男か女かすらわからない状態であった。普段、死刑執行は絞首刑もしくは斬首と決められていたが、この日は火あぶり刑なので準備に大勢の軍人が動員されていた。その軍人はどこかウキウキしているようなのが、アルベルトからすれば癪であった。あんなに金を払ったのに誰も味方になってくれない事に。

 黒衣装の死刑執行人はまさに死神だった。二人を柱につるし上げると大量の薪が置かれたはずだが異常な事に気付いた。薪の量が想像よりも少ないのだ。その時、死刑執行人は群衆に向けてこう言った。今日の罪人はすぐにあの世に送るわけにはいかない。父と母を裏切り、婚約者を裏切り、そして国民国家を裏切った二人はなぶり殺しにしなければならない。だから気を失わない程度に炙りながら殺すと。

 その言葉を聞いた柱に縛られたカルメンは気を失った。だがそれは許されなかった。頭に冷や水がかけられ息を吹き返した。そして死刑執行人はこういった。お前は第一王子であった男をそそのかし、罪なき婚約者を陥れた罪がある。また、お前の父は王国を私物化したじゃないか。お前は父の罪をそのお腹の子とともに贖うがいいと。それを聞いたカルメンは激しい腹痛に襲われた。お腹の子もこの世に生を受けることを拒否された事がわかったかのように暴れていたようだ。
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