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ざまあねえな!

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 カルメンの父の宰相ネルディは行方不明になった。その後乗っていた馬車は下流でバラバラの状態で流れ着いているのが発見されたが、乗っていたはずのネルディはついに見つからなかった。それで死亡したとされたが、噂では国家運営に行きつまり死んだ事にして行方をくらましたといわれた。もっとも、そっちなら娘を放り出して逃げ出した卑怯な男だといえる。

 アルベルトとカルメンは国王夫妻という神輿に乗っていたのに、担ぎ手であったネルディを失い茫然自失となっていた。国王になってからしたことといえば書類の署名と夫婦生活を楽しんでいたぐらいだ。そんな二人が国王夫妻として振舞うことは出来そうもなかった。少なくとも自分たちはそんな器ではなかったと理解していた。

 アルベルトは仕方ないので王宮内の監獄で拘束されていた前の宰相アントニオ・ボヌッチを釈放した。他の主だった貴族は投獄され地方の監獄に移送されるか逃亡するかしていたので、彼に任すしかなかった。ボヌッチはネルディと仲が悪いわけではなかったが宰相の座から引きずり下ろすために拘束されていた。だからまだ協力してくれたようだ。

 「やっと解放ですか? 本当にまずいことになっていますがな、どうしろといわれても選択肢なんぞ残っておりませんが! 園遊会から半月でこんなにこんなにばボロボロになんかできないだろう」

 宰相に再就任した口の悪いボヌッチはアルベルトとカルメンの前にして困り顔をしていた。

 「で、アルベルト王子いや陛下、とりあえずどのようにしますか? とりあえず王都から被災民は脱出させましたが、王都や王宮の復旧は現状では無理だと思います。国内の状況はどうなっているのかよくわかりませんが、断片的な情報からすれは、おそらくこの国の領土の五分の四を失っています。貴族たちが周辺国に寝返っているようですし、我が軍も戦わずして降伏しているので・・・現在の領土の維持すら難しいです」

 ボヌッチは広げた地図に記入しながらいろんなことを検討していたが、芳しい答えができそうもないっといった感じであった。するとこんなことを言い出した。

 「とりあえず、ユリウス二世陛下の追放はなかったことにするしかありません。そうなれば、分かっているでしょ? 息子はどうなるかです」

 そういわれアルベルトは父の怒る顔が頭に浮かんでいた。戻ってくれば自分は只ではすまないことぐらいわかっていた。だからといって国王の座にしがみつく事はできないといえた。

 「そうだよな、息子は廃位だろ? そして王位継承権は剥奪でどこかに流刑かもしくは断首!」

 そういうと二人はその場で立ちすくんでいた。

 「それよりも、陛下。あなたは王妃と一生を添い遂げるおつもりですか?」

 その言葉に胸は熱くなっていた二人とも。
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